テキスト1975
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クレマチスの和名は「てっせん」中国原産の花で、中部日本(信州地方)にも野生種があるといわれる。私達の活けるテッセンはほとんど洋種で、普通は濃紫色又は白色の大輪花である。茎が細く固く針金のように見える巫が他の草木にからみついて高く登り花を咲かせるので、鉄線の花と呼ばれるようになった。最近、外国種の紅色の花、小輪の変り咲きの種類などが栽培され、花も美しく夏季でも水揚げがよいのでいけばな材料として多く使われている。写真は朱色の漆器に活けたてっせん一種。からみついた竹から茎をはずして軽々とした姿を花器に入れた。一本だけ細い木を挿し添えたが、これも装飾になっている。この花器は下の写真のように、昔の煙草盆そのままだが、手を高く上げたところが少し変っている。花を活けると中々調子のよい花器になる。中筒を使って挿したが、花器の内部の美しく見えるように特に注意した。近頃この花をけいこの材料としてよく使うのだが、かなり太いしの竹が花の上までついたのを、そのまま活けるのは見よいものではない。花から10センチ又は15センチ程度の下で竹を切り、ツルをはずして挿すと自然らしさが見えて形もよい。花・クレマチス(てっせん)麗11

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