テキスト1975
121/147

はやはり風に吹かれてゆれ動くような、自然趣味の花としておくのが好ましいと思う。さて、あじさい(紫陽花)。これも古い日本の花である。ハイトランジァという洋種のあじさいを見ることが多くなって、洋種の方が形もよく水揚がよいのでこのごろ、この洋種のものを多く使うようになった。「てまりばな」ともいわれる集団花だが、万葉集には「安治佐為」と記されている。七たび花色を変える花、うつり気の多い花などといわれ花言葉からくるイメージはあまりよくないのだが、梅雨のころから夏へかけて水色の大輪花が庭に咲く情景はま三段に重ねた菓子器。大内重(おおうちじゅう)という。食器を利用したいけばなである。漆器には花器よりも食器が多いが、これを応用して花を活けるのも調和がよいものである。この器は外部が黒色、内部が落若いた朱色で実に手ぎれいで上品な菓子器である。花入れの中筒を使って剣山に挿しことに季節感の深い花といえる。稲類の多い花で瓶花には殊に風情の深い材料といえる。秋深くなって枯々とした姿も雅趣が感じられる。た。庭の紅しだの葉3枚、色の菊を2本とり合せて低く軽く挿した小品花だが、品格のよい花を入れることがこの花器にびったりすることになる。ふたを添えて飾りつけてもよいのだが、古い趣味に感じられるので、こんな場合は添えない方がよい。この器にはさらりとした美しさ、品のよさが望ましい。.. 単弁淡黄J 花・しだ黄色単弁菊器・大内重(黒に金色図),,. . •

元のページ  ../index.html#121

このブックを見る