テキスト1975
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涵鳥6月号から10月号まで「籠の花器」「ガラス器」「漆の花器」とつづけてきたが、この三種類の花器はいけばなの中では、いわゆる傍系の花器で、なんといっても陶器を使うことが多く、籠、ガラス器、漆器に活けることは比較的少ないし、一般の家庭でも籠の花器、ガラス器、漆の花器のある家は少ないのではないか。また、これらの花器は花器自体が清楚な感じ、軽やかな感じをもっており、それに入れる花の分量も比較的少なく淡泊にすっきり、といった調子に活けるのが花器を引立てることになる。そんな性質の花器である。いけばなの技術的な作品、重厚な作品はやはり陶器、金属器に活けるのがよく充分の仕事が出来るのだが、また別の見方をすれば、いけばなには軽やかな清楚な花も必要であり、そんな趣味の花には籠やガラス器や漆器などが特に好ましい、ということになる。花か立[漆器にいける専渓''-,, 漆器の中でもたっぷりとした花器。古風な形がまとまっており,時代的な立花などよく調和する。花材は,ばらん,けいとう,つるもどき,カラジュームの葉,やつでの葉,寒竹の六種類である。小品の立花である。漆器にこんな技巧的な花が入ることは珍しい。毎月1回発行桑原専慶流(朱漆花瓶)20分で作った立花編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1975年10月発行No. 148 しヽけばな

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