テキスト1975
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-• ·.• •9、. ..,\-・'-'、はまなすヽー網走湖と熊取湖、この二つの湖に沿って網走川が流れている。この川がオホーツク海に入るその河口の町が「網走」である。市街の北方に網走刑務所がある。前に黒く蒼くよどんで流れる網走川、後方に幾層の山を背負った位置に刑務所の高い煉瓦塀が見える。その山の背後はオホーック海である。網走の町ははるばる訪れてきた年若い旅行者で満員だった。いわゆる「かに族」と呼ばれるリュックを背負ったジー。ハン姿の若い人達。この観光地と刑務所の対照的な植民地風景を区ぎる様にたんたんと白い国追が東へ向かってつづいている。斜里から知床への道である。私の車はこの国道を海岸に沿うてひたすら走りつづけた。八月のはじめというのに毛糸のカーディガンをきてもなお肌寒い温度である。30分ほど走らせるとやがて半島の突端らしい風景が展開してきて、わびしい単線の釧網本線の小駅「原生花園駅」の附近についた。オホーツク海に而した北海道の東北の海岸にあるさむざむとした小駅である。駅というよりも汽車のとまり場所といった方が適当な風景であった。右方はるかに知床半鳥が淡くかすんで見え、その前方は祁茫としたオホーツク海の地平線まで、ただ蒼々とした海のひろがりをみるのであった。「原生花園」という名が通り名になっているのだが、北の涯ての浜茄子の咲く丘をあこがれて来る私達には、あまりにも殺風景な名前である。今年かぎり廃止されるというSLがまだ動いている。線路に沿うてすぐ原生花園がひろがっており、低い丘には浜茄子(ハマナス)の紅色の花、草藤の紫、日光きすげの淡黄の花が群がって咲いている。ハマナスはすでに花季を少し過ぎているが、湖かおる北の浜辺の砂山のかの浜なすよ今年も咲けるやという啄木の歌が思い起こされて一層印象的だった。やがて早い冬を迎えて流氷の流れつくであろう網走の海をみつめながら、有刺鉄線にかこまれたなだらかな浜茄子の海岸を歩くのであった。1メーターほどにものびた草藤はすでに花季がすぎており、植込みの様に頭を揃えた浜茄子の群がりの中に、屑突とした形をみせて、ミヤマシシウドの枯茎が立っる。ハマヒルガオのやさしい淡紫色の花、ノコギリ草の淡い紫は網走の海を背景にして、言葉もなく静かにゆれ動いていた。褐色のてい浜茄子の花を訪ねて専深,; . ••. . . . •. .. ~. . . ..、,• 會.,..• . ~ • !'. :-, ,r. ‘ヽヽ・ 、• . ・ 、,.. 、• -; .、'.... ,. .·.• • イ・....,,. , • • • ,;... • .; . .... • i • . .. • . .、.• 、-洞爺湖はしんと静まって雲の影をうつしていた。中山峠に立って白鳥の湖というその湖面をながめるのであった。..• ・;. ・ぷ......、;滋,ふ• • .:• 讐,.. ~. _,. . , . . ... -. .. . ク.• . .. 一.• ,、9...、.. "·-~ • .、.••.·• . ~. :,'、・:.•"-;,. ,;.、'‘“網走海岸に咲くハマナスの花• ... , f" , ~-~.• •. .、,, -, , ・.. "t-,,.,. . • , • . I• . . •'-. .... 賓囀..,. •. 10 ゞゼ已疇9芯?況、t'"!~,-,. ヽ',!令9戸~~--:',.・...·• •• , ~;~ •.':'•· •, ~~--.:·.. • ...、・.:,~, ■・"'"ti-→ 冒に

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