テキスト1975
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このテキストに掲載した岩田藤七のガラス器は、普通のガラス器の常識から離れて、陶器にみるような感じと色彩をもつ作ロnDである。外国のカットガラスや透明ガラス器と比較してみると、日本的な、むしろ風雅と思えるほどの落若きが感じられるものが多い。したがってこれに活ける花も、陶器に入れるのと少しも変りない様な材料を選び、色彩が豊かであるだけに、その色に対する花の色の調和について特に注意した。また花器を引き立てるために花の配列や下葉の囲がりなど、むだのない様に注意した。岩田氏の作品には茶室に用いられる系統の落若きを示したガラス器もあり、また反対に明るい透明感のある作品もある。私達、花を活けるものがガラス器というと、すぐ慇じる透明ガラスやカットガラスの常識の上に、なおこのようなガラス器が、しかも日本で作られているということを知らねばならないのだが、出来得ることなれば機会を得て岩田藤七の作品を見られるようにおすすめしたいのである。そして、ガラスの芸術が今後どんなに進んで行くだろうかを、みつめたいのである。写真にうつしてみれば陶器と変らない様に見えるこれらの作品には、ガラス器のもつ尖鋭な感覚と透明と屈折があり、そしてガラス器に最も必要な光の美を感じられるのである花器掲・黄•青色のガラス瓶(岩田藤七作)毎月1回発行桑原専慶流専渓編集発行京都市中京区六角適烏丸西入桑原専慶流家元アンスリームリアトリス1975年9月発行No. 147 ガラス器といけばな② しヽけばな

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