テキスト1974
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乾燥花を作るには、湿気のない場所で直射日光のあたらないところ、風通しのよい場所が第一の条件である。トタン屋根の下などに、なまの花葉をつりさげておくと太腸熱で自然に乾燥されることになる。薬品を使ってするドライ加工の方法もあるが、素人の趣味としては中々むずかしくやりにくい。草花の中でも乾燥花に作りやすいものと、作れないものとがある。作りやすいものは、スタージス、バラ、インカーナ、宿根カスミ草、紅花、ノリウツギアーテチョーク、ススキ、ガマの様なものは比較的作りやすく、その他にも多いが、キク、リンドウ、グラジオラス、キキョウ、カラー、の類は作りにくく、その他作れないものも多い。私達のやれる程度は風通しのよい場所の天井につりさげておく程度だが、条件がうまく行くと、掲色の中にビンク、赤、黄色などを残すことが出来て、中々楽しいものである。蓮の花の乾燥など掲色の中に紅色が残り、冬季までも色を変えないで見られるのは、中々趣味深いものである。日本の気候は湿気が多いので外国製のドライフラワーの様に美しくは出来ないとのことだが、薬品処理など特殊な技術が、向うの方が飯れているのではないかと思われる。スイセンc山アジサイの枯花。テッポウユリの二種瓶花である。六月ごろに咲く山アジサイをそのまま乾燥したものだが花もつぼみも視色のまま残っていて、副材の白花緑葉の百合の新鮮な材料と対照して、い。枯花となまの花が反対の調和をみせて大変ひきたつ瓶花になった。この山アジサイは花屋で買ってきた一束をばらばらにわけずに、ひとたばの形のまま壷に入れたのだが、色彩的に美し偶然にわかれた右方の一本が、形を作っており、一本一本あつめては作れないそのままの形といえる。時として花形を考えるよりも、こんな簡単で効果のある工夫も、意外に面白い瓶花が出来るものである。これは特殊な場合である。c 山アジサイテッポウユリ,

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