テキスト1974
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Rヵュウの花、バラの枯花、アワの穂、この三種の瓶花である。葉を使っていないところが特徴である。バラの乾燥花の葉はきたなく感じられるのでとり去り、茎をあらわにみせて褐色に赤が少し残っているのも面白い感じである。花器はコバルトブルーの陶器。足もとをすかせるようにして、三種の材料が入っている。主として直線のカイウバラの枯花アワ材料が壷に入っているのだか、バラの茎に曲節がありイバラの状態も見えてこの瓶花に変化をみせている。アワの黄みどり、バラの赤褐色の花、カユウの白と緑の花軸、この三種が立体の花形のうちに明るいモダンな調子を出していると思う。枯花もこんなにして使うと、その材料の効果をしっかり出すことが出来て、この瓶花を一層、新鮮に感じさせる。R ⑧同じ花器にブラジル産のウバ(すすきではない)オミナェシの二種を入れる。ウバの穂は淡い禍色、オミナェシの淡黄と緑の葉、この二種かコバルトの花器に入っている。副材らしいものをつけていないところが特徴である。二つの材料が同じ力をもって上方にのびている形はひろやかにのびのびしていると思う。瓶花と盛花は花材の配合、色調、形など常に新しい着想と新鮮な感じであることが、最も必要であり、また、これが瓶花盛花のいちばんむずかしいところである。自分で考える自分の花形、それが望ましい。8 R オミナェシ@ ウバ

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