テキスト1974
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同じ種類の花で、新鮮ななまの花と、枯れた花とを組み合せるのも中々面白いものである。先日、岡山展の出品の中にバラ(赤)の枯花と新鮮な紅色のバラ、紫ショウプとの三種盛花。こんな盛花を作ってみたが、大変趣味の深い花が出来た。材料をかえて、枯花と新鮮花との配合は、このテキストに14作ならベてみたが、別の考え方として、同種の材料で組み合せるのも―つの若想といえよう。例えば河原に咲く秋のキリンソウは八月l九月に黄色の穂状の花を咲かせるが、昨年度の花は冬に枯れてウスネズミ色になっており、この保存した枯花に今年の新鮮な花を添えて挿ける。また、(ヒマワリの枯花と、黄色の新鮮花との配合)(けいとうの紅色緑葉なま花に昨年の枯花を添える)(アンスリームの赤い大輪花に、緑の葉と黄褐色の枯れ葉)(ミリオクラタスの緑と、黄色に色を変えたものを組み合せる)こんなに考えてくると、多くの花の中には、同じ花の中でなま花と枯花枯葉を組み合せて、色彩的にも美しく、また、しゃれたいけばなになる材料が、次々と考えられるのである。伝統生花の中で蓮の生花は、ひら.. の.. .. このテキストの巻頭写真から3。ヘージまでの四つの花器は同じ花瓶であるR。の四つも同じ花器を使っているR。同じ花瓶に花材を変えるとどんなに感じがかわるかという―つの試みである。この二つの花瓶は京都の陶芸家宇野仁松氏の作品だが、Rの花瓶は濃い青緑色、Rの花瓶は淡い褐色に紫紅色をまじえた色の、二つともかなりたっぷりとした落普きのある花瓶である。二つともギリシャ花瓶の形式をうつした陶器だが、写真でもわかるように陶器としてもかなりよい作品で4。ヘージから6。ヘージまであるのだが、よい陶器を使うといけばな全体がしっくり落着いて品格が出てくる。いけばなは花と花器との結び合いによって作られるものであるから、花材の選択も大切だが、花器の選択もまた大切である。花器が悪いと花さえも歯っぺらに見えて、花の技術さえよければよいではないか、というわけには参らない。ことに瓶花盛花の場合は一屑この考え方が大切である。花器をよく見る目、花器に対する知識は花を活ける人に最も大切なことである。バランスを作っていると思う。6 サスの様に細い花茎がまるくのびて,その先に花をつける。写真は実になったもののR アリアムシューベルチというのは(イスラエル原産)の花でこれはその枯花である。直径2センチ程度の太い茎にアカバン枯れ花だが,たしかに異閲情条者があって面白い。これにカラジュームの葉を3枚つけてかなり感覚の強い雁花を作った。たっぷりとした花瓶と重い感じの花材とが,よい.R

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