テキスト1974
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c白く褐色を帯びた百合の実。これは洋種の百合の枯花である。昨年夏に花の咲いた百合の実だが、これに淡黄色のスカシュリを四本添える。淡い黄色に濃い緑の葉。みずぎわに百合の実、その左にカラーの葉2枚をつけて形をととのえた。この盛花は淡褐色と淡黄色、緑の葉の色彩c百合の実スカシュリによる淡泊な色の配合であり、花器のトルコ青の色もふくめて、淡泊な調子の色感である。盛花瓶花は形に主点をおく場合と、色調に主点をおく場合と、二つの場合がある。もちろん形と色とが組み合わされて作品となるのだが、それでもこの二つのねらいどころがあって、それぞれ特徴を作り出すことになる。シラボシカユウの葉最近、ドライフラワーが流行している。銀座や横浜の元町、京都の河原町のアクセサリー屋の店頭にドライフラワーの売場をつくって、バラの枯ればな、紅のはな、スタージスや外国渡来の乾燥フラワーなど、雑然と並べてあるのだが、御婦人たちのアクセサリーとして使われるのか、ガラス瓶にでもつっ込んでおこうというのか、とにかく趣味の範囲がひろがり、美の追求もいよいよ高くなってきたのに違いない。さて、いけばなの方ではもちろん、材料の一部である乾燥花を使う機会も多くなり、花展などでは褐色の実ものや枯れ葉の類を見ることが随分多くなった。したがって花屋も枯れ木や枯れ花を集めて「いつでもお間にあわせます。」といった調子で、材料、外国産の花ものの乾燥材料が、いっぱいならんでいる。といった調子で、花屋の窃売の中に枯れもの部門というのが一課独立するほど、大した売上げとなっている様子である。それにつけても私の家の倉庫にも枯れもの実ものが、随分沢山つみ重なって保存されている。長方形のダンボールの箱に、乾燥材料を押しこんでそれが幾十というほど積み重ねてあるのだが、あらためて調べてみると、ヒマワリ、バラの枯花、ウバユリの実、ケイトウ、パン。ハス、ホウの葉、アズサ、ナタマメ、ナタネの実、アテチョーク、スタージス、ヤマイモのツル、ツキミソウ、リーガルリリーの実、ハスの実、シダ、シベラス、ヤマアジサイ、ガマ、紅花、マキノ実、サンキライ、コクワヅル、フジの実、カスミソウ、アンスリュームの枯葉、などの一般的な材料から、少し毛色の変わったもの例えばキング。フロテア、カノエヤシ、カスタネット、ハレコニア、アリアムシューベルチ、プラジルのウバ。その他、なお種類があるらしいが箱づみの下になって調べにくいほど、多種類のものが保存してある。これらはいずれも乾媒材料の、いわゆる「枯れもの」なのだが、花展のときの残物やら、見つかったときに買いためておいた保存材料で、ちょっとした花屋なみのコレクションである。全く「枯れ木も山の様な賑わい」を呈している。倉庫には日本産の枯れもの3

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