テキスト1974
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cアリアムの細い茎のもの4本、白に褐色を交えた洋蘭のバンダ1本、あじさいの黄緑の葉を添えて小品盛花を作った。花器は備前焼の変わった形の花器。写真で見るようにこの花は明る<新鮮な感じの盛花である。広い葉と細い茎との対照も効果的だが、アリアムの褐色の花序がぼつんぼつんとしてその形が面白い。この盛花からうける感じは浩新、明快といったところに特徴がある。花材の配合も少し変わっているのだが、褐色系統の色で統一しているところも特徴がある。引きたつように、こんなに使うと一層効果的である。1本の洋蘭だけれど花のc か多く見られない品種である。(専)アジサイは梅雨の六月に咲く。雨の中にしっとりとぬれて咲く青い花のアジサイは、ろう。土につくまで丸い花のかたまりをさげて、黄みどりの葉の中にならんで咲くアジサイの花。ゆったりとして豊かに水分をふくんだ青く薄紫の花の列が寺院の崩れ落ちた土塀に添うて咲く様な風景は私達のよく見かけるところである。アジサイは日本の花といわれるが、今では園芸変種による「ハイトランジァ」が世界各国に栽培されて、これらの新種がわが国に沢山入ってきている。まる<大きい集団花であるアジサイは山に咲く「ガクアジサイ」の園芸変種という説もあるが、山のガクアジサイから庭のガクアジサイに変花し、更に丸く大きい球状のアジサイが出来たものか、と思われる。私達がいけばな材料に使うのは、普通のアジサイのほかガクアジサイの類、まれには山に咲くヤマアジサイの類であるが、最近は「ハイトランジァ」がほとんどで、これは水揚もよく、形もひきしまっており色彩も盟富である。白、紫、青、淡青淡紫、紅色など様々な花色がある。したがって昔からの日本種のアジサイを活けることはほとんど少なく、ハイトランジァを普通のアジサイと思うほど普遍的になっている。庭に栽雄されたがくは花の形も平面的にならんで、中心の小花の集団をかこんで四弁の大花が咲く。ちょうど額ぶちの様な形なので「額」がく、という名が生まれたということである。ロ本秤のアジサイは水楊が悪く、ガクはさらに弱い。これに比較するとハイトランジァは水楊よく、切り花にしても安全なのでこの秤類が多く使われているのである。ガクの中に「ベニガク」という品種がある。大きい花ではないが、白花から紅花に変化して風雅な形をもっているので、茶花として賞美される。栽培がむずかしいのこの季節を彩る詩趣であ3 バンダアリアムアジサイの葉

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