テキスト1974
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贔かヽ~'‘か_f~疇 /'‘t/u鴫亀量・i`A とかくしミズバショウの尾瀬か、尾瀬のミズバショウかといわれるくらい有名な植物でいまや、尾瀬のシンボルとなっています。五月中旬、雪どけがはじまると同時に花茎を出し、その先に白い花をつける白い花のように見えるのは、実は花を保護するための包葉でその中にある黄色い太い穂に無数についているのが、本当の花です。(サトイモ科)葉はおくれて根ぎわから三枚から十枚ぐらい生じ、長さ30180センチ、巾15ー30センチ、表面は緑色、裏面はやや淡色です。花期は五月中旬から六月中旬頃までで、最盛戸隠越水高原の水芭蕉大津中川慶光贔贔期には人の列がつづくということです。日ごろ花に趣味をもつ私はこの水芭蕉を見るために、同好の人達を誘い合って、静かな戸隠へ行くことにしました。長野駅前から、戸隠中社行きのバスにのり、善光寺の横から有料自動車道路へ入り、快適な高原の旅を楽しみつつ、バスは大きく曲折しながら戸隠高原へと登ってゆきます。そのあたりは、まだ一面にリンゴの花が咲いています。私達の所では初夏でも、ここでは信濃路の春を象徴するかのようでした。この道路の愛称が戸屈バードラインと名つけられたのも、ここが、今でも鳥の王国だからです。飯綱山の南麓を行きますと、その途中で大座法師池が見えて来ます。池畔はきれいに整備されていて、}f、< 池のまわりにはカラマツの林があり、そのカラマツが美しく新芽をふき、コブシの花が白い蝶の様にゆれていました。岩のごつごつした戸隠連静が目の前に近づいてくると終点の中社で、このあたりは竹細工のみやげ店があり、名物一戸隠ソバの店もたくさんあります。中社で海抜一〇命がおまつりしてあり、その境内には何百年もたったと思われる杉木立の巨木があります。ここから三十分ほど山迫を登ると越水が高原に出ます。シラカバの枝越しに戸隠表山の岩壁が幾条もの残雪をつけて目の前に見え、実に壮大な景色です。そして、林の中にミズバショウが一面に咲いているのは、見事な景色でした。純白の花は林の中を明る<し、沼はいたる所わき水があふれて、流れ落ちています。越水高原には、ひろびろとした涅地があって、林の下にはミズバショウが白い群落をつくって咲いています。その中に、リューキンカも咲き、そしてその時期に可憐なカタクリの花も見られます。このあたりには秋には、リンドウ、マツムシソウもたくさん咲くのです。尾瀬沼は六月にミズバショウが咲くそうですが、戸隠は少し早く五月00メーター前後、中社には天思兼こ。t うっそうたる原生林、からまつ十日前後が見ごろだと思います。鬼無里(きなせ)まで行けば、もっと沢山のミズバショウが見られるそうです。私達は越水高原の白柿の林の中にある「越水山荘」という宿に泊りました。附近にも山小屋の宿が五軒ほどありますが、湿地帯に面したこの宿は徳武信盛氏の経営で、部屋に入ると窓からミズバショウの花が咲いているのが見えます。食事は山菜料理が主で、タラの木の芽のてんぷら、野びるの味噌あえ、ぜんまい竹の子の煮付けといったところで風雅なお食事が楽しめます。「戸阻そば」というのもあって、これも野趣の深いものです。私達はお花の趣味をともにするものですから、旅に出ましても道すがらに咲く、いろいろな花をみて楽しむのですが、松本から長野へ行く途中には民家の庭にライラックが各戸に咲いているのを見て珍らしく思いました。白ばなと紫ばなのライラックが明るい感じの花を咲かせて美事でしたが、ウバステから長野への山峡にも山藤の白と紫の花がおびただしく咲いていて、林、しらかば林と自然の植物園の中で、ウグイス、カッコウ、コマドリ、ヤマバトの鳴き声をききながら、美しい星の夜が更けて行くのでした。美しいながめでし12

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