テキスト1974
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かんぞうは五月から七、八月まで咲く草花だが、その中にいろいろ種類がある。漢字では「萱草」と書く昔からの花だが、中国が原産地で江戸時代に渡来したといわれる。私達が普通に見るのは、30センチ程度の橙黄色の園芸で栽培される大きい花の種類、また別に「ヤブカンゾウ」といわれるのは七、八月ごろ野原に咲く橙黄色で草丈60センチ程度のものがあり、このヤプカンゾウは山裾の高原地帯や畦道などに野生する種類だが.カンゾウの中でもいちばん色もよく風雅であり、水揚げのよい種類である。花の少ない盛夏のころ、この見捨てられたような野の「ヒメカンゾウ」花カンゾウを活けるようにしたいものである。花屋のカンゾウよりはるかに好ましい花である。この写真の材料は園芸栽培の大花カンゾウである。さし合わせの木は「ツユツバキ」ツユツバキ(梅雨椿)は(夏椿)ともいい六月から七月へかけて緑の葉に白絹のような小さい花を咲かせる雅趣の深い花である。「娑羅」ともいわれ、山地に自生する喬木であり、庭木として栽培される。茶花として好まれる花でもある。有名な印度の「娑羅双樹」とは別種のものである。梅雨のころたっぷりとした緑の葉、光沢のある銀色の花。まことに美しく風雅な花である。、。⑪シャラcたけ高く茎のしっかりとした紺根冗イリス。冬から使いなれた六月に咲く花である。葉も広く質が硬い。黄土色の長方形の花器に紅色のナデシコをつけて活けたが、アイリスの一葉を左方に折って形に変化をつけた。温',全アイリスの終わるころ、宜月、カンゾウにツユツバキの二種を淡青磁の壷に活けた。この程度の低くまるい花器には剣山を使い、横枝は丁字習、立つ花は剣山に挿す。橙黄色の花に淡緑濃緑の葉、青々として新鮮な感じの花である。丸葉に対する細く曲線のあるかんぞうの葉も対照的である。7

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