テキスト1974
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陶器は土で原型を作り、陶窯で焼成して作る土器様式と、釉薬(うわぐすり)をかけて窯に入れて作るやきものの区別がある。土器は陶器の中でも原始的な形式で「縄文土器」や「弥生式土器」にみられる土偶や食器の先時代的なものを始めとして、平安時代に人って作られた「古常滑」の様に、壷に彫刻文様を描いた装飾的なもの、索朴な土器様式の陶器から現代の「やきしめ」に至るまでの―つの形式を伝えた陶器である。また一方釉薬(うわぐすり)をかける技法は奈良朝時代に中園朝鮮をへてわが国に伝わり、三彩釉を用いた陶器の製作が行なわれるようになって、鎌介時代から奎町時代に入ると頗戸、唐津をはじめ常滑、越前、信楽、丹波、備前などの各地に窯場が作られるようになり、それぞれ特長のある陶器が作られるようになった。これに対して「磁器」は一五00年代の後期に朝鮮よりその手法が渡来して、砂石を原料としたやきものを作るという、江戸初期より始められた形式である。有田焼、九谷焼などが有名であるが、白地の石焼きに藍絵、赤絵、多彩な色絵などによる美術的な作品と、日常食器の茶碗などに多く用い1ページの花瓶は白地に黒色で描いた。ヘルシャ瓶様式の陶器である。ペルシャ瓶の校作だが、カユウの緑の直線の茎と白い花、後方のアンスリュームの葉の黄禍色が、花瓶の白と県に対照して色彩的に美しい。ヵュウは花屋で貿ってきたそのままの束のまま、足もとを切って花瓶につき挿した実に箇単な花だが、手を入れるより以上の新鮮さを感じると思う。はっきりとした個性的な花である。このページの写真は、カキツバタの紫の花、緑の葉。カユウの花の位謹に特徴がある。カキツバタを背景にして、ぽつんと大きいカユウの花二つ。単純明快といったところを考えている。花器は淡色に黒色の線を描いた図案花器。陶器揺足の盛花器。花の株を花器の中央に集めて、花器の足とバランスを考えてある。るのが磁器である。陶器と磁器とは混同されやすいが、一っは土が原料であり‘―つは砂石が原料であって、全く別のものである。有出焼、九谷焼など磁器として古い歴史をもち、ことに絵のある花瓶として特長をもっている。陶器として絵のある花瓶も多いし、磁器として単色のものもある。青磁、白磁のように、またしんしゃ釉の壷の様に単色色彩の花瓶もある。2 R 花器カキツバタ線条のある高足水盤(陶器)カユウ陶器と磁器

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