テキスト1974
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絵のある花瓶に花を調和させるのは、意外にむずかしいものである。絵のある陶器磁器といっても中々範囲の広いものだが、その絵校様(文様)が、写実的な絵、図案様式のもの、またその手法も彫刻的な彫りっけ文様によるもの、藍絵の類の染付様式のもの、単色赤絵の類、複雑な色彩による色絵様式のもの、いろいろ柾類が多い。また外国陶磁器の場合、日本陶器の場合にも、彫刻絵付のある花瓶の類が、古い時代から現在まで、多種類にわたって考案製作されている。私達がこの系統の絵のある花瓶に花を活ける場合、普通の花器に活ける以上に深い配駆が必要である。図案や絵のある花瓶は活けにくいと敬遠されやすいが、花瓶の絵を利用して花を引き立てる、という考えが大切であり、うまく利用すると普通の単色花瓶より一層花を引き立てることが出来るものである。私の家には絵のある花瓶、その他文様の花瓶が約万十個程度ある。その中から季節向きに適当な花器を選んで、瓶花盛花を活けて写真を作った。この月号テキストには「絵のある花瓶」というところに目標をおいて、それに謁和する花を活けることにする。毎月1回発行桑原専慶流花カユウアンスリュームの葉(黄色)編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元絵のある花瓶1974年5月発行専渓No. 131 いけばな

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