テキスト1974
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踏跛会以上のような目標で変った花展が催された。諭眼会の同人は十八名で、男性ばかりの集まりというのも珍しいが、山野で材料を採集するというたてまえから、女性では不可能という点も考えて元気のよい男性ばかり、ということになった。こんな主旨の案内状を出した以上、中々むずかしい制約もあり、ことに3月の初旬では野生の材料も季節的にも少し早く、この点かなり苦心だったが、同人の人達の熱心さと、これまでにない企画だったので一同はり切って、終始協力の体制もしっかりと最後まで押し切ったのは愉快だった。(同人)材料採集は2月下旬から3月5日ごろまで三回にわたって、主として滋賀県信楽方面、京都宇治山方面、西山丹波方面、奈良県下など各方面に乗用車とトラックを走らせて、ニ組にわけて山地の材料、山裾の高原地帯、河川の野生植物の中から、いけばなになりそうな材料を約百種も蒐集したのだった。さて、熱心にさがしまわってみると、日頃気づかない山野の雑木野草の中から面白い材料が案外多いもので、こんな点からも大変勉強になり、苦労した材料をいけばなに作りあげることは、一層趣味深いことであった。山野の花材というが、花展となる以上、色彩の関係上、園芸栽培の花を小部分加えたが、六十点の作品の中ヘ一万円程度の花屋の材料を加えたという程度、全く「野武士のいけばな展」の而目躍如たるもの(裏ページヘ)料材を足でもとめて花材費をつかわずよい花を活ける会3月9日②10日⑲京都六角桑原富春軒11

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