テキスト1974
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こ菊0最近、竹器をうまく作る人が少なくなった。篭の花器も同様、段々と作る人が少なくなり、篭花器屋という店をみることも珍しいと思うほど少なくなった。竹器や篭の花器は実用的ではなく、耐久力のない花器であるから売れない、ということにもよるのだろうけれど、また、以前のように篭作りの名手も少なくなり、若い人逹が経済的にも合わない篭花器などに年期を入れないようになったのかも知れない。以前は竹屋のおやじさんは寸筒を切らせても鋸を動かすと、一息に狂いなく正しく切る技術をもっていたものだが、このごろの若い人達は商売をしておりながら、まっすぐに切れるのは珍しいほどである。竹器など足もとがガタガタとして安定しない。伝統の技術というのか、そんなものがなくなって行くのはわびしい思いがする。さらに、竹屋が電気のこぎりというものを使うようになってから、いよいよまっすぐに切れないようになったのは、いかにも残念である。勿論、篭にしても竹器にしても名手といわれる人逹は別に存在する。伝統の技術を伝えている竹器師、篭の作家が、一般の織人芸から超然として、わずかながらの作品を作っているのだが、これは値段が高くて一般的ではない。私逹の欲しいのは芙術品ではなくてH常に使える家庭用具としてのいけばな花器である。こんな実用的な竹器や篭花器の完全なものが、簡単に買えなくなったのは、残念なことと思っている。銅器の数もほとんど少なくなったし、のように時代生活のうつり変わりによって花器さえも、自然洵汰されるのだろう。このごろ私の家へ竹器を売り込みR一重切筒の竹器である。竹皮をとりさり磨きあげた花器で、体裁はよいが耐久力のある花器ではない。水仙とつばきを少量活けた。この花器には普通、窓の中だけ活けるのだが、この場合は水仙を花器の中から高く登らせて、花器の前へも葉美しい趣味である。R大郡の水盤に水仙、赤い実のせんりょう、白大輪菊三種の盛花である。中央に空間を作ってある。分体花型の形式である。日本趣味の配合が落著きのある芙しさをみせている。を3枚さし、紅色の寒椿を少し挿した。怪やかに6 RR すいせんすいせん寒椿せんりょう(一重切筒)(盛花)⑧ R

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