テキスト1974
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Rテッボウユリを2本、淡黄の中花を活けた。花器は低い丸型の手付花瓶、褐色の花器である。剣山を使って挿した。前方へ少し傾いているが真を短く副を長くした基本花型で、胴、中間、留に菊が入っている。中間の菊を右方へ長くのびやかにさし出したところに、この瓶花の特菊4本。この二つを配合して立体瓶R テッポウユリR古い伝統様式の水盤。藍絵の山水画を描いたこの花器は、三つの足に特徴がありこんな形を「猫足水盤」という。伝統花器にはそれに活ける花も温雅な落着きのあるものが好ましく、この写真の様に細管大輪菊、単弁小菊の配合盛花など適切なものであろう。古風な水盤に活けたこの盛花は、中菊cまっしろな手付花瓶。外国様式の花瓶である。花はダイオオショウ、アンスリーム(白と紅)バラは黒味がかった赤色。この三種を瓶花にした。ダイオオショウの葉をひろげないで、花器の中へ沈ませてその上ヘバラを浮き立たせ、さらにアンスリームを長く挿し出したのだが、新年の洋室向きの花にふさわしい瓶稽古場で花を活けるとき‘―つの花の活け終るまで、瓶花盛花の場合は30分か40分程度が理想的である。生花の場合は40分から一時間程度、これが限度である。てそのお花はよくならない。花は活きものであるから長時間になると材料をいためることになり、活ける人達の心身ともに疲労し判断力を失うことになる。いけばなは手早く新鮮なうちに仕上げることが大切であり、それがよいいけばなを作るコッといえる。ときとして神経のこまかい人達がずらりとならぶことがある。申し合せた様にねばりにねばって、結局はどれもよくない、という場合がある。隣りの人が悠りだから自分も落ちついて、ということになるのだろうが、時間を長くかけてよい作品が出来ればよいのだが、よい時点を通りすぎて萎縮して力のない花になるのが普通である。自分だけでも突き切って花から離れてしまうという積極的な態度をもつことが上達への早道である。熱意をこめて作る作品は、ある時点でその作品の前から離れ少し休む。そして他の作品があればそれを見て廻り頭を休め、そしてふたたび自分の作品にとりかかる。これまで気のつかなかったことが早くわかり、それから後は意外にすらすらと行くものである。花が思う様にならないと、親の敵(かたき)の様につっかかって行く人がある。これでは花からも見放され「仕様のないお嬢さんだな」ということになって、見るかげもない嫌な姿を見せるようになる。よいお花を活けるには、花と仲よくしなくては駄目、きらわれてはお仕舞いということである。それ以上かかると決し~ 18

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