テキスト1974
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Rくまたかの枯実夏季に花の咲くクマタカの実である。褐色に少し朱色の実がみえて、細い花茎の形も面白い。オレンジ色のバラを三本つけて立体瓶花を作った。花器は渋い紫色の花瓶だが変わった形をした新しい感じの花器である。色彩的に渋い調子の面白い感じの瓶花だが、これは形よりも色彩に重点をおく瓶花といえる。この花器は重厚な感じの陶器だが、花との調和のむずかしい花器で、明る<渋い感じの配合でないと調和しない。Aさんは花を習ってから三年になります。技術はすっかり完全というところまで来ているのですが、まだ考え方がしっかりしていません。いけばなは技術だけで出来上るものではなく、この花をどう使うか、どう活かして使うというところが大切な考え方です。習うということは同時に自分みずからが考案することです。先生と同じことをやるといった考え方は、一応の形を作ることが出来るが、自分自身の発展がありません。いけばなというものは自然の植物を材料とするのですから、その自然の形や色彩をどんなに活かすかというところに作者の工夫考案があるのです。常に考えることです。そして自分の考え方を自由に出せるようにする習忙をつけることが大切なのです。花を活けるとき、およそその仕上げの時間を考えることが大切です長い時間、二瓶の花を挿したりはずしたり、同じようなことをいつまでも繰り返しはいけません。花は活きものですから、それでは花の方にもあなたの技術や考え方が見すかされて苔うことを皿かなくなります。飼い猫でも持ち上げたり折り曲げたりすると、それこそ怒ってかみつきます。花は無心ですがついには言うことをきかなくなります。そしてぐんなりとしていよいよあなたの手にあまるようになるのです。およそ手早くさっと活け上げる時間があって、必要以上の時問をかけていると、花の生気はおとろえ時間の経つのにつれて段々と活けにくくなる。巧く活けようと思うのだったら、順序よくなるべく早く活け上げることです。長くかかるのは先ず失敗率が高いと思わねばなりません。―つの花材に向ったならば、花の感じを早く掴んで、どんな形に仕上げるかを決め、勢いよく一気に花に向うことです。花に先生からの手紙花を活け始めてからいつまでもノゞC10

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