テキスト1974
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Rー月の瓶花である。枯れ残ったホウヅキは褐色の中にほのかな朱色をみせている。テッセンは夏の花なのに、これは秋咲きの種類であるのか豊かな白花が大きく咲いて美しい。淡いチョコレート色の花瓶にこの二種を配合してみると、さわやかな感じの中に風雅な瓶花となった。色彩的にも美しい花である。実のあるウメモドキ、ウメモドキは普通は赤い実なのに、これは白い実をつけている。これに濃い赤のバラ、緑の葉。花器は褐色の壺である。ウメモドキは自然のままの枝振りを一本、形のよいところを花器に安定させて、バラは後方から前すそヘ4本、前後に深く配列した。ほうづき枯実R白いテッセンcスイセンの花を頭を揃えるように立てて、その後方と前方の左右に白椿を入れた。この盛花はスイセンの足もとをかくさない様に、椿の褐色の枝が、スイセンの株もとに重なって枝線のはっきり見えるように考えて花形を作った。椿を添えると普通は下葉でみずぎわがかくれるので、この場合は特にそれに注意した。京都千年の歴史を生けるいけばな展(桑原専慶流出品の一部)R 12

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