テキスト1974
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かけばなに活けた小品のつばき、床の間のかけ軸の前に活けたつばき一、二輪。小さい花だけれどひきたつ花である。椿の小品花は形は小さくとも大作の花にまけないほど、座敷をひきたてる。古木の梅に紅つばきをたっぷり入れた大きい瓶花の椿も、豪華に見えるものだが、椿一種の場合は小さく活けるほど品格もよくしみじみとした椿のよさが感じられるものである。写真の瓶花は、褐色の壷(大谷焼)に白椿一種。小品というよりもやや大きくゆったりとした感じに活けた瓶花だが、さびのある枝を軽やかに留と中間にさし出して、美しい枝の線のよく見えるように葉を少なくした。椿の一種挿しもこの程度になると中々むずかしい。業が多すぎると低俗に見えるし、葉をとりすぎると皿芸かさを失うことになる。そして何よりもパランスのよい花形が大切である。清楚にして流珈。そして品位の森い花であることが望ましい。よい花を活けるためには材料をよく選択して、古雅であり美しい枝と美しい葉と花のあるものを選択する。花器によく調和する花形を考えることも大切なことである。菜を美しく拭って一枚一枚の葉の分量を考える。多すぎても悪く少なくなってはそのいけばなのうるおいや力がなくなってしまう。一枚の葉でも無駄に考えられないのは椿のいけばなである。活ける人の心が深くにじみ出る様な花、これが梧一種のむずかしさであろう。したがって大きく活けるほど粗雑になりやすく品位が落ちることが多い。白椿桑原専渓. 毎月1回発行桑原専慶流No. 137・138 編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1974年11・12月合併号種いけばな

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