テキスト1974
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天保年代に発行された本〔生花独稽古〕意匠花〔白糸を菊にかける〕に掲載されている天の川で牽牛足と織女屋が年に一度相会するという八月七日の夕刻、私は最終の目的である「七夕祭」をみるために仙台についた。ここ数年間に私は、金沢、博多、岡山、一禍松、横浜、静岡などの都市を機会あるたびに廻ってみたが、それぞれの都市の個性はあっても一様に都市の美賎を幣え活動的なふんい気をもつ、のび行く都市であること笹の葉、あじさい、紙片で作った意匠花仙台の七たな夕ばた祭まつりをしみじみ感じるのであった。仙台の七夕祭はロマンチックな祭であった。美しい色紙の七夕飾りが中心の繁華街に飾られ、市民のことごとくがこの日を楽しむという、優雅な祭りである。ねぶた祭や竿灯祭にはない伝統と夢を彩る美しい祭りであった。七夕という日本の情緒を盛大な形に押しひろげた美しい色彩の祭りでもあった。(花に活ける)七夕飾の意匠花.11

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