テキスト1974
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Rモンステラに洋花のダリア。洋花二つは当然、調和するにきまっている、と思っ取合せである。私達はこんな配合の場合にすぐ考えるのは、温室の中で見るような配合、ということである。そこで洋種の材料二つとしないで、たとえば(マンサク・ダリア)とか、(庭の紅シダの葉にダリア)とか、少しにが味を添えるような気持で配合を考える。この場合は黄土色の花器が襖い感じの陶器であり、大きく低く安定した形なので、どっしりとした葉と花とが調和する、という花器と花との調和に重点をおいたわけである。蠍かな色調の盛花である。c五葉松のさびた直幹。ふといの細い直線の茎。紫白の大輪ダリア4本。変った配合だが意外によく調和している。太い松の幹に対するふといの取合せは、強いもの弱いものとの反対の調和といえるものだろう。二つの草と木が両上の形というところに一致するところがあり、また明るいダリアの色が、この雁花を渋く見せないで、比較的軽やかに感じさせるのに効果があったと思うのである。花器はグレーの色の陶器だが、これも明るい感じの花器で、これらの取合せによって、松の璽たさや古雅な感じを、ダリアに一致させようと考えたのである。c 五葉松(ゴョウマツ)と姫小松(ヒメコマツ)はよく似ていて、私達には見わけがむずかしい。樹木図鑑によると、静岡以東に自生するものが姫小松、それより以西九洲までに自生するものが五葉松と記されている。北陸地方にあるものはチョウセンゴョウの種類であるという。普通に見た場合、ほとんど見わけがつかない程度である。私が野生のものを見たのは洗賀県田上山地の五葉松と、乗鞍山頂で見たヒメコマツの野生である。園芸栽(植木)の町菜松は各地に柏栽されていて庭園の樹木として品格のよい松だな、と思うことが度々であるが緑青色の短かい葉が万つ一糾についていて、普通の松のように枝葉を戊らせ高さ20メーターにまで及ぶ喬木である。昨年の夏、上高地から栞鞍へ登ったとき、中胆から山頂までぎっしり押しつまって野生している姫小松の群生に蔑いたものだった。遠望したとき頭を揃えて茂っている野草かと思ったが、近づいて手にとってみると、これが一メーター程度に高さを揃えた姫小松だった。数年前に渥美半島の岬で、海岸近くの砂浜に、黒松系統の小松がニー三キロつづいて群生しているのを見たが、これも海風に頭をおさえられた一メーター程度の松でこんなのが小松原というのだな、と実際に教えられたのである。5 五葉松フトイダリア焙

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