テキスト1973
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最近号のテキストから、掲載写真を大きくのせるようにした。折角の作品でもあるし、細部のわかりやすい様に大きくしたのだが、そのために記事が少なくなったが、テキストの目的からいうと、このほうがわかりやすい、という点を考えてそんな編集法をとっているわけである。いつも思うのだが、筆者の私と読者の皆さん方が、誌面を通じていけばなを教え、これを習うということに重点があるのだから、このテキストがいけばなの勉強に役立つようになれば、まことに幸せである。読者の皆さんからは案外、希望や意見がないし、ひとりよがりになっていてはいけない、と反省しつつ、また皆さんからの御批判や質問など、どしどし送って欲しいと思うのである。毎号のテキストをみて、花材と花器との配合について注意すること、花と花との組みあわせはどうか、色彩の配合(印刷が白黒単色なので不充分だが)、それぞれの作品の趣味、花の名を覚えること、そんな点については、写真を通じて充分理解できることであるから、テキストをただばっと見放さないで、よく考えて見て欲しい。あなた個人のために花を活け写真を作り、原稿を書くと考えて下さったら、今一度みなおして下さるに違いないと思うのだが、如何でしょうか。「いけばなの四季」の本は予期以上、好評でした。テキスト次号から「いけばなの四季」に対する参考作品を作り、また四季の本でいいたりないところを補足解説をしたいと思っている。これは長期にわたるかもしれないが、しばらく続けてみようと考えている次第c cデンドロビュームの中でも大輪咲きの花である。「デンドロビューム、フォーミディブル」という品種である。カラジュームはアマゾン川の流域に野生する草で、これには15種ほど品種がある。この瓶花は活けることはまことに簡単だが、配合の着想とすっきりとした色彩に考案のある花といえる。花器は黒褐色の新しい形の陶器で、この花器に洋花二種は実に新鮮な感覚が出ていると思う。デンドロビームの白花と濃緑の葉、カラジュームの白と緑の模様のある葉。単純明快といった感じの取り合わせだが、実に美しい花である。一般に夏の花は弛い色の花よりも、白、緑、紫、青などの淡泊な色彩が好ましいし、手のこんだ作品よりも単純なもののほうがよい。少ない花材をすっきり入れる、という考え方である。です。専渓デンドロビュームカラジュームュ11

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