テキスト1973
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Rサンキライあるイバラで、別に「猿飛いばら」という面白い名前がある。という字も使われているが、これはどんな意味からきたのかわからないが、山へ入ると足もとにかかるサンキライになやまされるので、この名があるのかもしれない。初夏のころ実がついて、そのころは黄みどりだが、夏を越えて秋深くなるにしたがって、朱色から濃赤となって冬季まで山野の雑草の中に風雅な姿をみせる。瓶花の材料としてはことに雅趣のある花材だが、ユリ、キク、キキョウ、スイセン、ツバキなど、日本種の草花木の花がよく調和する。サンキライは垂れる形が多いので、花器も背高いものが調和がよく、山木の葉など、組みあわせると、自然の情趣が感じられて風雅である。写真の瓶花はサンキライののびやかな茎1本が美しく流れるような形に右方へのびている。これに対して濃い紅色のスカシュリ一輪は形と色のバランスを作っており、緑色の中の紅百合は、全体の中心であるとともに形と色彩を引きしめている。黄みどりのナナカマドの枝葉は、前部に垂れる枝、左方の留の位置、奥深く控の部分にも挿して、この瓶花に自然の感じを深くしている。初夏にふさわしい瓶花である。(山帰来)は、山に「山嫌」Rタメトモユリにシマガヤの葉2本、ススキに山百合の配合は、同じ環境の材料なのでことに調和がよい。庭のシマガャを切って百合2本を添えた軽い感じの瓶花だが、褐色の新しい様式の壺に入れたこの瓶花は清新な感じの花である。材料少くすっきり入れた花、夏季の花はこんな趣味の花が好ましい。庭のすすきは葉も柔らかく水揚がよい。これに反して山のすすきは葉も薄くするどく、水椙がよくない。cタケシマユリは葉がまる<茎の周囲につき、これが段になっているのが特徴で、これを輪生の葉という。山百合の中に朱色の花の咲く車百合というのがあるが、この花も葉が輪生である。タケシュリにカラジュームの葉をつけて盛花とした。単純な形の中にすっきりとした感じの盛花である。カラジュームの鉢植を買っておく、必要な葉だけを切って使う。鉢の若葉がまた大きくなって、使える便利のよい材料である。c 3 タケシマユリカラジューム

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