テキスト1973
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竹の花器、篭の花器は掏器のように丈夫な花生ではない。陶器は手入れと扱いに注意すれば比較的いたむことは少ないが、竹器はたえず使いばなしに使える花器ではない。汚れるし割れることもあるし、ことに初夏の頃には乾燥する関係から一層、割れることが多い。古くよくなれた竹器は割れないが、新しい竹、若い竹で作った竹器はよく割れる。篭の花器も同様、よほど大切に使わないといたみやすく、壷のように常什として使いつづけることは出米ない花恭である。それだけに、時々とり出して花を活けると新鮮な味わいを感じられるし、竹、篭の性格からいっても、季節の折々に花を活けてほっとしたうるおいの感じるような情紹のある花器ということができる。技巧的な花、堕厚な花は調和しないということも、竹と篭の自然趣味的な性格からきているが、また、時々とり出して活ける花器という性格からも、その目的が一致していると思う。花器の耐久力と使用保存に対する必要とが淡泊な花を入れることになるわけである。伝統生花の花器として、竹器を使うことが多く、技巧的な花であるだけに足もと水際(みずぎわ)作成の関係から、竹器のように内部の直線的な形の花器が望まれるし、竹器に活ける生花は、しっかりとした作品を活けることができる。瓶花を活ける竹器は、あくまで軽やかに、やさしい花がよく調和することになる。花・てっせん器・意匠篭(箕)なるこゆりて作った篭花器である。淡<緑色のある新しい竹の篭はすがすがしく新鮮な感じがある。意匠のある花器だが、これに軽やかな憾じの白花のテッセン2本、ナルコユリの葉2本を挿して盛化にした。の花である。竹の中筒を関によせて剣山を入れて挿してある。というところに特徴がある。形の変化というのは、竹を縦に使って花器を作るか、横に使って花器に作るか、竹を糾み合わせて使うか、この三つしか方法がない。その他は窓の切り方、尖端に意匠をつけてけずる。竹根をつけて意匠づける。そんな方法しかない。した活け方が伝統的に定まっているのだが、従って積極的に変わった花型を活けることのできない花器といえる。ただその中に(巻頭1ページの写真のように)自山にのびやかな花を活けることも出来るのだが、花材をよく選択して花器の引き立つように注意しながら、新しい粋想の使い方をするのもよいことだと思う。すく、また小品であることが花器を引き立て、花を引き立てることになるのだが、また時として自由な考えで思い切った使い方をすることもいいことだと思う。R農家で使う道具、箕(み)をうつし夏の朝を息わせるような軽やかな憾じ竹の花生はまっすぐな形の花器である花を活ける場合、この竹慇の形に調和竹器の窓に活ける花は小品的になりや6 R R

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