テキスト1973
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R黒褐色のたっぷりとした篭。上方はまるく下部は四方形の大きい篭。中筒を二個入れて、てっせんの白、早生ひまわりの花の橙黄、なるこゆりの葉は白と緑。三種の花を低くたっぷりと入れて花器に調和させた。花形も低く豊かな感じに入れた。直径40センチ程度の篭である。篭の花器には日本種の花がよい。ことに自然趣味の花がよく調和する。.. うcこれは腰さげの魚篭である。こぶりのだがしまりのある形が格好よい。これにぎほしの生花を活けた。ぎぽうしは五月から六月へかけての草花で、庭に栽培する種類、野生の種類もあり、花葉とも小さい形のもの、大きく花がのびて葉の大きいぎほうしもある。さじぎぼうし、大葉のぎぼうし、たまのかんざし(八月)などが生花によく用いられる。写真のぎほうしは小型の「さじぎぼうし」篭.. で、花形は25センチ程度の高さだが、淡紫色の小型の花が咲き、普通は花3本又は2本を葉の間に入れて活ける。花のない時は葉だけで活けることもある。(写真)写真のぎばうしは(真、真かこい、見越、副、胴、胴のしずみ、控、留、総かこい)の九枚で花型を構成している。ばらん、しおんなどと同じ葉組みである。生花の特徴であるみずぎわを美しく揃えるよう注意する。c c 篭のいけばなは軽やかに風雅であることに特徴がある。野趣と雅致、これが篭の花生の感覚であるといえる。その自然趣味は手軽く花を投入れ様に挿すというところにもあり、技巧の少ない花であることも篭の花の特徴といえる。しかしまた、伝統生花の花を篭に入れることもあるし、洋風趣味の新しいデザインの篭の花器もあって、必ずしも篭の花は風雅の小品投入れのみにとどまるものでないことも当然である。篭花器には種類が多い。また花器と定らない日常用具の餡、民芸品的な実際用途に使う篭、いろいろ種別が多いが、これをいけばなの花器として応用することが多く、趣味のいけばなを作るのに使いやすい花器となる、一般的に篭花器というと手附きの篭が多いが、これには淡泊な花を入れるのが普通である。ここに掲載した写真の篭はいずれも大型の花を入れることの出来る篭だが、手附篭は大体において簡素な形に活けることが多い。砲花器には生活用具の形を校して形を作ったものが多い。魚篭、野菜篭、牒具としての篭、お台所用品の篭、手提篭まで、そのままを利用して花器とすることも多く、その風雅な形をうつして作った篭も多い。趣味の花器といえる。3 .... 花・さじぎぽうし器・魚篭(腰さげ)

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