テキスト1973
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イタリヤのサルジニア島の民芸陶器である。淡褐色に黒色のながれぐすりがついている。花器に作ったものだろうが、原型は止面の大きい口がなくて水壷からきていると思われる。山村の水汲み場で清水を入れて頭にのせ、両手をそえて歩く女の姿が連想される。陶器としては平凡なもので、七、八百度程度で焼き上げた土器様式のものだが、索朴な味わいと異国的な感じが深い。日本の陶器は世界的に優れているといわれるのだが、これは焼成の技術も高く、その方法も永い伝統によってつみあげられた結果であり、また、陶器の種類も多い。外国陶器は焼度を低くして、したがって形に変化を作ろうとするもの、また一方に高熱度で作られた磁器形式のもの、この二つに大別されるのだが、うわぐすりの変化に乏しく、陶芸技術としては、日本の陶器に比較して劣ると考えられる。特に考えられるのは形に変化が多いことである。これは焼度の低い関係から形にも変化を作ることが出来るという利点もあるわけだが、これに比較すると日本の陶器は焼度が高く焼成に多くの変化を作り褐るが、形そのものは変化に乏しく類型的なものが多い、ということになるのだろう。写真のいけばなは、青色のあじさいイトランジャ)を一本、大きい方へよせて花器の中をひろく見えるように挿した。民芸陶器の趣味とあじさいの花の調和がしっくりしていると思う。もとの一(ハc □ヽ3 花瓶・イタリア(サルジニア島)花・ハイトランヂャ

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