テキスト1973
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花・カーネーションR うつ。Rこれはオランダの陶器である。高さ15センチ程度の小さい花瓶だが、白磁に濃紺色の上ぐすりがかかっる。中央に少し大きい口、尚囲に小さい口が八つある。周囲の口にも花を人れるのだろうが、中央とまわりの口に花を入れると全体がまるい盛花様式の花形となり、テープル飾りに使うための花瓶だと思われる。写真ではビンクのカーネーションを3本入れて、口の見えるように注意して活けたが、口もとのかくれるほど花を挿すよりも、日本の趣味は花器の面白さを活かそうとする。そんなところに日本のいけばなの特質がある、と思とにかく面白い形の花瓶だが、Rの写真の花瓶とよく似ているので、これも参考のために掲載することにした。てい⑧の花瓶は日本(備前焼)の陶器だが、Rのオランダ陶器と同じデザインで、おそらく日本の陶芸家がこのオランダ陶器の形を校倣したものと思われる。先号で紹介した伊部の陶器師西川清翠の作品で、私の家にはこの同系統の陶器が10個ほどある。あきらかにオランダ陶器の類型で、本場の陶器とならベてみると中々面白いので、ここに掲載することにした。オランダ陶器のカーネーションもよく調和するし、日本陶器に緑のムギ2本だけ簡索に挿してあるのも、日本の風雅の情緒を見せている。中国の金属器に百環(ひゃくかん)という形式の壷がある。壷の周囲に金属のかんが多数ついて、これが装飾になっているのだが、このオランダ陶器の考案と同じような作揺であろう。2 R 花瓶・オランダ花瓶・日本花・ムギ@ R

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