テキスト1973
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この月号のテキストの写真には、葉を用いない材料が多い。ボビー、アンスリーム、クンシラン、アネモオ、カユウなど、どの材料にも葉を使わなかった。ラッパスイセンに添えた山木(名不詳)は、アセビのような木振りで小さい葉が、かなり多くついていたが、これもすべてとりさって枝と紅褐色の実だけを残して活けた。なぜ、葉を使わなかったかについて疑問をもたれる人もあるだろうから、それをお話する。間を作って,盛花瓶花を活ける場合、葉をたっぷりとみずぎわにつけて活ける場合、たとえば椿のように、菊、バラのように、その他にみずぎわの葉を多くつけて、足もとをかくすようにして活ける場合が多いのだが、また反対に、足もとの葉をすっかりとり去って、枝の線条を美しく見せるやりかた、スイセン、カユウの花のように草花の直線的な材料を活ける場合、当然、足もとの横にはい出す、大葉小葉のない楊合、直線的なみずるU大体、足もとに葉を茂らせる活けぎわになるわけだが、今度のテキストの材料のように、特に広葉をつけず花だけ挿したり、木の葉をとり去って足もとをすかせる、といった様な活け力は、特殊な考え方といえ方は、自然趣味的な作品の場合と温雅な作品に多く、これに反して明るい調子、モダンな感覚を出そうとする楊合は、花茎の直線や曲線をあらわに見えるように用いるのが効果的である。風雅な花、自然趣味の盛花瓶花は菓のうるおいをみせて、落着きのある感じが好ましいが、この月号テキストにあるような明快な作品には、むしろ下葉の少ない材料を選んで活けるほうが、明るい感情を見せることになる。花形を作る上のテクニックだが、同じ花材でもすっかり印象をかえることが出来る。この。ヘージに掲載した写真、楓(ベニサンゴ)とカユウの二種の瓶花の場合でも、囲線の花材二種、紅褐色の楓の茎と黄みどりの茎のカユウ、それに白い花。この三つの形と色が直上形に数を揃えて立ち登っている感じに、消新な感じをうけることになる。楓は左右に出た小枝をとりさって直線の茎のみとし、数を揃えたが、カユウの色との配合も考えつつ、明快な線の美しさをみせた作品といえる。こんな場合には小枝や葉は不要だし、自然趣味から離れた新しいいけばなの形が仕れる。6 る。ベニサンゴ(楓)黄色の花器には黒い横線がまるくまわってい美しい直上形を揃えている。とカユウの茎が適度の空線条の美しさをみる

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