テキスト1973
43/149

新しい感じのいけばなは考案の中から生まれるのですあなたの花材黒やなぎ美術的なアンスリーム.. な花器に使っているのは高さ15センチほどの陶器。とんがり帽子のようふたがあり、その尖端にまるいつまみがついている。日本製だが外国陶器のイミテーションである。淡い黄褐色の地色に図案は黒、赤、緑で野菜が描いてあり、詔画的なやさしさ、面白さがある。これを花器にして花材は猫柳の黒い実、アンスリームの赤色の大輪の花三本。花器は円筒型の平凡な形だが凶案が変わっているので、なんとなくエキゾチックな感覚をうける。黒柳をまる<曲線に曲げて左右にさし出し、アンスリームの赤色との配色も而白い醐和だが、足もとに緑の葉ものをつけないで、柳の紅褐色の茎の直線とアンスリームの黄緑色の細い茎が、美しく花器の中へ入っている。黒柳の短い枝を下部に添えて、これで足もとのしまりをつけているのだが、技巧的には足もとの茎の美しい揃え方が、この小さい瓶花の新鮮な感じをつくり出していることになる。出来上がってみれば簡単な花だが、花器に対する花材の選択と色彩の調和、花器の感じにあわせて作るいけばなの調子。それらのものが一つになって、明るい調子、しゃれた形、普通の瓶花にない新鮮なリズムを感じさせるのである。(花器一、二00円)毎月1回発行桑原専慶流編集発行京都市中京区六角適烏丸西入桑原専慶流家元1973年4月発行No. 118 いけばな

元のページ  ../index.html#43

このブックを見る