テキスト1973
31/149

ベi家庭にかざる明るい感じこの月号にはてみましたそんな作品をならのいけばな力"0 これは即興的な花である。買ものを入れて持ってかえった手提バッグ。粗末なハトロンの袋だが黒字で印刷した英字のデザインが明るい咸じである。ふと思いついて、これに花を飾ったのだが、出来上ってみると中々面白い。フリージャの紅色の花、さびた淡い紅色のフリージャは感覚的にも異固梢紹があって、この紙袋によく調和していると思う。軽やかなゆきずりの様な意匠だが、こんな肩のこらないような花もまた楽しいのではないだろうか。少しよれよれとしたしわのある紙袋、それにも住活のにおいが感じられてほほえましい。こんなものが花器の代用に使える、というのもいけばなの中の生活の知恵とでもいうのだろうこんないけばなをあなたの部歴に飾って、お友逹とお条をのむ時間を考えてごらんなさい。お花てなんでも使えるのね、ということになるに辿いない。全く、4活の中にあるいけばなは花器を選択して止座したような花も必要だし、こんなくだけた感じのいけばなも、いけばなの中の―つの考え方として面白い。これは即制的な―つの意匠花ともいうべきもので、繰りかえせば鼻につく程度のものだが、こんな瞬間的な思いつきは、いけばなのある部分にはいつも必要とされる心のはたらき、ともいえる。そんなにむずかしく考えることはないけれど、花器がなければ花が入らないという、常識的ないけばなに対するレジスタンス、といえるでしょう。あなたのすきな紙袋を残しておいて、こんなに利用することを考えてごらんなさい。いけばなもまた楽し、ということになります。毎月1回発行桑原専慶流編集発行京都市中京区六角適烏丸西入桑原専慶流家元1973年3月発行No. 117 いけばな

元のページ  ../index.html#31

このブックを見る