テキスト1973
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瓶花(柿の木テッボウユリ柘)こけつきの柿の雅致のある木を一本、てっぽうゆり二本、淡紅に少し紅色を交えた椿を少し添えて瓶花を作った。花器は黄土色の変郡の壷である。ゆりとつばきの二種だけでは平凡な花しか出来ないが、柿の木を枇例しに一本入れただけで、面白い調子の瓶花が出来た。昨年の秋に活けた柿の木の残りものを利用して取合せたのだが、ふと思いついたままの瓶花としては出来のいい花といえる。柚の木は花器の上端から五センチばかり浮き上て、左右に水半にのびている。もちろん水に入っていないし右方にのびた木の切り口もみえている。したがってこの柿の木は装飾的な役割をもつもので、ゆりとつばきに対して雅致を添え、しっかりとした力感を与える目的でさし加えたもの、といえる。普通の瓶花に少し意匠的な趣味を加えた作品ともいえる。柚の木を花瓶より浮き上がらせるためにたての木を二本、釘で打ちつけて花器の中の剣山にさしてある。ゆりの足もとと、つばきの足もとの中間を少しあけて、柿の木がまん中に見えるように考えたが、これもこの瓶花を軽やかにみせるとともに、変わった醐子をみせるための―つの1夫である。この瓶花は花器に対してのバランスを充分考えて作った。L日〈口を1央に高く立てて、その芹右に空間を大きくあけて、本のぽくと前方へつき出た下部の百合、つばきの形を低くならべて、花器の上部の面にならぶように水平に並列させてある。こんな形のとり方も変わっているとIli心う。叫材としての椿の形は、古いいけばなの松じめの形式であり、百令と椿とを離して挿したのも分体花形の形式であって、特に変わった考案ではない。ただ、花器の形に謁和させたJ夫という点に面白い考案があると田心うのである。つの工夫専渓毎月1回発行桑原専慶流編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元っ1973年2月発行No. 116 いけばな

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