テキスト1973
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コレーション等も、さすがだと思いました。イギリス人はお茶が好きだというがニュージラーンドの人たちもほんとうによくお茶を飲む。朝の食事が終わって九時か十時にお茶、昼食が済んでまたお茶。もちろん紅茶でミルクティーのみである。クッキーもついているし、小さなケーキだとか紙のようにうすく切ったプドー。ハンにバターをたっぷりぬったトーストの場合もある。そして夕食が済むとまた寝る前にもお茶をたのしむ。ほとんどの人は砂糖を入れない。私もだんだんニュージランドスタイルでノーシュガーとなった。ケーキの種類も多くケーキ好きの私は最高でした。ケーキもすべてホームメイドで、いつも王婦は気楽に作り私もハーダード夫人から沢山習ってきました。ニュージランドでは、オープン料理が多くラムを使った料理がとてもおいしかった。日本のようにレストランは、ホテルしかなく、みんな家で料理を作らなくてはなりません。その点日本は何でも便利だなぁーと、つくづく思いました。ニュージランドの婦人は、一年分のジャムづくりと、果物の。フリザープといって、フルーツの砂糖潰けを作ったり、よく働いているようです。皿洗いをハズバンドが、お手伝いするのも不思議はありません。ハズバンドは週五日外へ出て働き、週末は家庭のために働くそうで、芝生の手入れ、。ヘンキぬり、その他のカ仕事で妻を助けてくれる。日曜日は家族連れで出かけたり、ゆっくり遊ぶし、普段の日でも六時になれば商店も酒場もしまるので、男の人はいやでも家に帰って家庭の団らんを楽しむのが普通だそうです。高い賃金をとって安い食費でつつましく暮らすのだそうである。だから世界一の福祉国家に発達したのだろうか。勉強したければ、ただでも大学に行けるし、身よりのない老人も孤児もけっして生活に困ることはないそうである。本当にうらやましい国である。以上のべたのは、ハーダード氏宅で、なまの生活を通して感じたこと、知った点である。ダーニーデン第三日目の晩、ハーダード夫人の友達グルー。フの方逹にデモンストレーションを行なった。雪がつもり、とても冷たい晩で、やっと友人宅まで行けた。花材はハーダード氏宅の庭の花を使わせてもらった。菊、リリー(ビンクのアカバンサス)庭の木。日本のいけばなは、花と木の材料が少しでも華やかさを出す技術があると、とても喜んでくれて、色々とお花について教えてあげた。たとえば、茎(菊)をななめにカットするのは何故か?理由が必要である。必ず、理由をたずねることには驚いた。わかりやすくするため盛花三瓶と瓶花一瓶で、インテリアにあわせた生け方を考えました。ニージランドのどこの家でも、花を飾り、部屋に緑をおいてある。花を愛するやさしい国民性が、うかがわれる。台所でも、天井よりったをはわし、緑の中にいこいの場所を作っている。ラウンジのフロアーのつぼに、庭のビンク色をしたリリーという花を沢山入れて生けているすばらしい家もあった。みんなが口をそろえて、九月になれば花が一番美しい。ニュージランドは春から夏が、ベストシーズンだから、是非今度はその頃きてほしいと言われた。秋でもすばらしいのにーぃつもすばらしい国だなぁと思四日目、ハーダード夫人のお里、アレキサンドラという田舎に案内してもらった。ダニーデンより、もっと広々として、青い空、みどりの草原、羊の群れ、ウイドーツリーという背の高い木の並木、どの風景も絵になりそうな場所ばかりである。夫人のおかあさんはナナさんと呼ばれ七十七オだというのに、真赤なセーターがよく似合って、若々しい。ナナさんも家のまわりに、カーネーション、カラー、バラ、色とりどりの花を作っていた。ダイニングルームのテーブルの上に真赤なカーネーションがガラス器に生けてあり、「この生け方はどうですか。」と、たずねられ、庭の葉(タマシダ)をとってきて少し手を加えてあげると、いいことを教えてくれたと顔をほころばせていたナナさんを、きのうのことのように思える。二十九日、このすばらしい国を後にして帰途についた。このたびの旅行のもっともうれしかったことは、日本のいけばなに対して、みんな興味をもって意欲的であったことです。できれば、もう一度、いや何度でも訪れたいと夢みている。つこ。t 11 クィーンストーンにて

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