テキスト1973
103/149

さっぱりとした夏らしい個性のある花。八月のいけばな。(かきつばたのふいり葉、こうぽね、蓮葉)盛夏の花はさっぱりとした感じの花が好ましい。緑の葉を多く使った色彩の淡泊な花、そんな配合が季節的にも適切であろう。水辺に咲く蓮、こうほね、すいれんなどは、いかにも涼しげであるし、ふとい、芦、がまなど池畔に群がる緑の中に水草の花を見るのは一層、夏の梢緒を深く感じるものである。さて、私達が夏のいけばなを活けるとき、なるべく涼しげな泌じの花をと思いながら材料を選ぶのだが、軽やかにさわやかな花ほど、水掲が悪いということになり、まことに残念な思いをすることが度々である。たとえば、庭に咲くフヨウ、オオショッキのように、朝顔、述のように、切りとるとまもなくしおれる、という材料が多いのだが、考えてみれば切花にすると水揚の悪いものをしいていけばなにしなくても、池や庭で咲く花はそのままそれを観賞すればよい、とも右えられるし、朝顔のよつに紺叫ごとに新しい花を咲かせるも0は、一日の花として朝ごとに切りとって活けるという、自然に調和する考え方をもつことも必要になってくる。また、一方に蓮や河骨の水揚のように、いけばなの工夫で少しでも永くもたそうとする技術もあり、これもいけばなの中の―つの趣味である。夏の花毎月1回発行桑原専慶流絹集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1973年9月発行No. 123 いけばな

元のページ  ../index.html#103

このブックを見る