テキスト1973
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花か立[伝統のいけばな「立花」には、祝日の花として「松一色」「菊一色」「牡丹一色」などを立てることになっている。水仙一色も古来、祝儀の席に用いることになっているのだが新年の床飾りとして季節的にも実にふさわしい感じの花といえる。一色(いっしき)とは一秤挿という意味だが、実際では全体のほとんどを水仙で作り、みずぎわに低く季節の草花をあしらい、また椿などをつけることが約束になっている。江戸時代から明治期へかけては、冬の草花というとなたね、寒菊、剖んせんか程度しかなかったので、普通はきんせんかを使うことが多かった。きんせんかは花莱の形もしまりがあり、水仙との色の調和もよいのだが、この花は品格に乏しくこのごろはほとんど使わないのだが、最近は園芸的に新種のものが栽培されているから、そんな種類のものなればよいのではないかと思う。水仙に椿は調和のよいものである。白椿もよく、紅椿、紅白のしぼりの花もよく調和して美しい。山に野生するいわかがみの紅葉したものをつけたことがあったが、形もよく風雅な咸心じで、これも中々いいものである。水仙の葉にはりがねを挿し入れて花形を作る。技術的にむずかしいが、自然風なのびやかさと、品位の高い作品を作るように考えることが大切、とされている。.... 毎月1回発行桑原専慶流の作品である。私としてはあまりよい出来とは思えないのだが,この花展のために雑然とした中で作った立花である。つほみの花が少いのでやや品格に乏しい,と思っている。水仙の立花12月9日,京都似世会館で催された杵の会いけばな脳に出品(梓の会出品.専沢作)編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元(水仙一色)すいせんいつしき1973年1月発行専渓No. 115 いけばな

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