テキスト1972
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c 少い分量の花を手軽く挿して、その花が大きい瓶花や盛花に劣らない深い味わいをもつ作品であったならば、これほど理想的なことはない。第一、材料は少くてすむし、活ける時問も早く作ることが出来るし、いずれにしても経済的である。しかし、分贔が少いから楽に入る簡単でたのしい小品花かというと必ずしもそうではない。第一、材料の選択、花器の選択、それにあっさりとして気のきいた花。これが仲々むずかしい。趣味的にもよく、小さくてしっかりとした技巧ひきしまりのある花形、ガラス絵に見るような小さくて感じの強い花、ぐっと人の心をひきつけるような花、こんなにならべてみると小品花も中々むずかしいものである。RR R 黒く紺色の花器。左右に二つある突起の形が変わっている。単純で新しい感じの形である。カーネーションの淡紅色,ユーカリの白緑色。手に重ならないように花器のまん中に株もとを作った。明るい小品花。せいひつばき一種大輪の椿の花。白に紅色のしぼりの花が美しい。青緋つばきという。築は淡黄と濃緑に染めわけて,虫喰の破れ葉も面白い。20センチほどの小品花器の花。床の問に調和のよい花である。カーネーションユーカリ柿菊R

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