テキスト1971
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⑪花器は古い中国の陶器である。呉須の色と哀の刻印からみると中国の古い染附であることがわかる。この花器は私のけい古場に永い間置いてあるのだが、活ける人がほとんど少ない。むづかしく考えるのであろうが、活けてみると調和のよい花器である。野趣のある大鉢なので花材もどつしりとした自然趣味のものがよく調和する。⑪竹のc キンボウジ(器京都)(器中国)c R四月に松江地方に旅行したとき、市内の道具屋でみつけて買つてきた花瓶である。古い伊万里の陶器だが、朝顔の藍絵があつて絵もよく描けているし品格もある。こんな花校様のある花瓶には、活ける花材もなるべく花ものをさけて、夏の葉ものを活けるようにしたほうが調和がよいと思うので、庭にある「秋田ぶき」の葉3枚を切つて、生花の形式で真、副、留の三ところに葉をおいて活けた。小さいくばり木をかけたのだが、留りにくく出来上りもあまりよいとはいえない花である。もう一度、この花瓶にびったりとする花を活けて、次の号に掲載したいと思っている。しかし、花器と緑のたっぷりとした葉の調和は中々よい。夏の花器としてふさわしいと思っし、材料との配合もよいと思っ。R藍絵の花瓶だが、形も変つているし図案も面白い。明るい慇党をもつている。京部の西川清翠という陶芸家の作品で、私の家へ来てから年数も相当古い花瓶である。こんな花器には大まかな形の菜、大輪の花が謁和がよい。たとえば、テッポウユリ、ダリア、グラジオラス、大輪咲きのバラ、シャクヤクなどがよい調和だと思う。写真の花はモンステラのたっぷりとした緑の葉とバラの白の大輪咲き2本、紅色2本の配合である。バラの葉もたっぷりとして、花器の図案とよく調和していると思う。c京都の若い陶芸家の作品で、展覧会の入選作品だという。新人らしい図案だが若さがあつて、陶器の焼成の技巧が優れている。こんな花器には若々しい慇覚の材料を選んで活けるのがよいと考えたので、赤い色の花の「きんぽうじゅ」と白色のバラを取合せて活けた。花形も花器の形に調和するように左右にひろげた洋室向きの形を作った。明るさのある耽花といえよう。こュ,シャクヤクノゞ⑪

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