テキスト1971
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私の手もとにある花器の中から藍絵の花器を選び出して、それに調和する花を活けて写真にした。絵のある花瓶には花が活けにくいという考え方もあるが、絵の固柄をよく選択して花との調和がうまくゆくと、花を引き立てることになり、白地に藍色という色は、花葉との色彩の調和もよく決して活けにくいということはない。絵の中には比較的、植物の固案が多いので、その場合には花と重複する場合もあるのだが、また反対にこの花の絵を利用して、活ける花材との調和を考えるということも考えつくわけで、これは使う人、活ける人の考え方によるということにもなる。図案にも多種多様いろいろな種類がある。古い写生画の絵付もあるし、新しい現代感党の明るい図案もある。藍絵の花瓶をみるときその陶器としての焼成の技術のよいこと、花器としての形のよいこと、その上に描かれた絵画、図案の優れていること、これだけの条件が必要である。絵のある花瓶で、その絵や図案のへたなのは実に見にくい。古い絵であろうと新しいデザインの図案であろうと、絵付けが主眼となつているこの秤類の花器に、拙い絵や趣味の悪い図案のあるのは、花を活けようとする意欲もなくなるし、これが活けにくい原因ともなるわけである。白地に藍の色、花は緑の葉とその他の色が入るわけだから、色彩としては充分調和せねばならないことになる。ここにならべた6枚の写真は、花と花器との調和を考えて活けたのだが、私の手持ちの花器には私の息うようなよい花器はないので残念だけれど、とりあえず思いついたままに道具棚から藍絵のものをとり出して、その中に煎茶碗も応用して花を活けてみた。それぞれの花器の絵に調和した花を選んでいることに注意して欲しい。また、藍絵の花瓶は青磁の花瓶と同じ意味で、さっぱりとした感じをもつているので、あるともいわれるが、私は図柄によっては四季ともに用いてよい花器だと思っている。だ夏草の図案のある場合には、その季節を考えて使うのがよい。「夏季の花器」で藍絵の花瓶のいけばなモンステラ絵と花との調和を考える(器伊万里)(器京都)8 ノゞた⑧ R R R 秋田ふき一種

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