テキスト1971
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白い磁器の花瓶に藍色の絵をつけた花器、これを「藍絵の花瓶」「呉須(ごす)絵の花瓶」「染附(そめつけ)の花瓶」などと呼ばれる。呉須というのは頻料の名前で、もと中国で出土した特殊な陶土だが、白い土で作った花瓶や食器などに、この呉須で絵を書きつけ、図案をつけて焼きあげたいわゆる石焼きの陶器のことである。最近では人造呉須で絵附けをするようになったが、そのはじめは自然の土の中から呉須土をとり出して呉須焼を作ったものといわれている。藍色の頻料で絵が書いてあるので藍絵の花瓶ともいわれ、また「そめつけの花瓶」ともいう。佐賀県伊万坐地方が本場で、この地方で産出される上質の白亜の土で作り上げた磁器に絵つけをしたものである。日本の陶器で絵つけをした花瓶は、この伊万里焼(有田焼)と石川県九谷から産出される九谷焼が有名であって、いわゆる彩画陶器として独得の味わいをもつていることはひろく知られている。絵のある花瓶に花を活ける場合に、藍絵の場合もあり、九谷の様に色絵の場合もあつて、花との調和ということに深い関係をもつことになる。花器の図案を巧みに利用して、花を引きたたせるということが大切であって、絵付けによっては花との配合が複雑になる場合もあり、反対に花を引き立てる場合もあって、使い方によっては中々趣味の深い花器といえる。毎月1回発行桑原専慶流No. 97 編集発行京都市中京区六角適烏丸西入桑原専慶流家元(写真あいえささゆり一種)専渓tヽけばな藍絵の花瓶1971年7月発行

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