テキスト1971
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c山梨、カーネーション、ナルコユリの三種の瓶花である。この花型はRのチューリッ。フのつけ方によく似ているが、カーネーションを後方に入れ樹技の後に深く入れるとともに、前方へはナルコユリを入れて、前と後にねじめをふりわけて入れているところに特徴がある。菊をこの形に入れると、ナルコユリの場所とカーネーションの後方の二か所に分c やまなしカーネーションけてねじめの形を作ることになる。主材の形もRの留の長い形(留主型)であるのに対して、この花型は花器の前方に低く技を入れ、左方へは多く出していない。写真では花の前後の深さがわからないが、山梨の枝が強く前方へはり出し、カーネー・ションがその奥にある。テッボウユリ、大輪菊、つばきなど、この花型によく調和する。ナルコユリ⑪山梨につばき、このつばきは白に紅色を交えた美しい花である。山梨は副に重点のある副主型の形。胴と真は軽い技が入つており、ねじめの椿は普通よりもたっぷりと入れ、形も大きくひろやかな形に作ってある。左方にのびた枝、前方へ垂れた枝、山梨の後方にも控のつばきが入っている。山梨の副は右前斜の方向に枝が出ており、花器が高い関係もあつて、上方へは軽い枝で形をとり、それに対して花器の下部へは、椿の垂れた枝を入れ閲花を壺の前に重ねる様に入れて、この瓶花の特徴を作っている。花器の上部へはり出した山梨と椿は普通の形だが、下へ垂れた一輪の花によって、つかり調子をかえて、変つた花型になった。根じめのつけ方によっては花型をすつかり変えることが出来るといったのは、こんな場合をいうのであつて、根じめは単なるあしらい花ではなくて、全体の調子をかえることのできる大切な場所である。自然の花材の中には予想以上に変った形をもったものがある。それをどんなに用いるかが活ける人の考案技術ということになる。この瓶花はすやまなしつばき(紅白交色)⑪ 11

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