テキスト1971
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R生花の場合、一瓶に活ける材料は一種、二種というのがいちばん多い。たとえば「おもと」「かきつばた」「花菖蒲」「すいせん」の様に、それが主材となる場合には、あしらいの花をつけず一種挿しにする。二種の場合は随分多い。根じめをつけて色どりを添える生花はすべて二種挿これが三種挿となるとずつと少なくなる。五種、七種程度まで活けることがある。秋草をとり合せて七種など、代表的な配合といえる。この。ヘージの生花は三種挿しの配合のもの二つだが、三種の花の形と色彩の調和するものを選択して、生R若松ぼけつばき⑧ ヤシの葉おおかすりそう椿花の花形を作りあげる。Rの作品は若松、白花のボケ、赤椿の三種で、花器は淡いあずき色の陶器。若松の真、ボケの副と真がこい、胴、留、控の赤椿。それぞれの材料の調和するものを取り合せ、また趣味的にも落若きのある材料である。松の前に璽なるボケの禍色の枝と白い花、低い位附に人れた赤椿はしつかりとした安定感があって花型の引きしまりをつけていると息う。瓶花盛花の場合でも、生花の場合はことにそうだが、空問(すきま)の美しさ、すきまの形について常に注意するようにしたい。R ⑧洋花を生花に使うことが多くなった。アマリリス、アイリス、チューリップ、シラボシカユウ、モンステラ、グラジオラスその他、独立した一種挿として生花に活けることができるし、それぞれ生花としてのはつきりとした花形を作ることができる材料である。古い考え方にとらわれないで、自由に新しい材料を使うようにしたいものである。写真の材料はヤシの葉2本、おおかすりそう一株、それに赤椿をつけた生花である。洋秤の材料には洋花の根じめを、と考えやすいが、これだとあまり甘くなって、生花のもつ落若き、品格が失なわれてしまう。椿でぐつとおさえている調子が、大切なもち味ということになる。生花に必要なことは引きしまりと静けさである。たとえ洋花であろうとも、日本の伝統芸術にある「幽玄」の色の中に、染めかえてしまう、その心が大切である。@ 8

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