テキスト1971
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R水盤の株分挿(かぶわけざし)の生花である。右の方を「おもかぷ」左の方を「こかぶ」といつて、この場合はおもかぶの葉組み五つ、こかぷの葉組み二つで花型を作ってある。真3、副3、胴5、控2、おもかぶの小さい留は若葉3を組んで花型を作る。中央の空間のところを魚道(ぎよどう)といい、この様な株分挿しを魚道生(ぎよどういけ)ともいう。水面からの立ち上りを美しく作ること。葉は大体平面的に組むのだが、少し斜のものを加えると花型がよくなる。こかぶの葉組みは前に五枚組み後方に3枚組を入れる。Rこの花器は陶器のうすばたの形の花器で、瓶花にも使えるが生花にはうつりのよい花器である。.. 花器の口もとの中央にたての一本くばりをかけ、その右方の穴にかきつばたを挿して生花を作った。花器が軽やかな感じなので花もあつさりとした淡泊な感じの形に作ってある。葉糾みは五つ組み。花は真と副に一本づつ入れ、胴3、留3、控2の葉組みを添えた。真は3枚の葉組。副は五枚の葉組みである。一瓶のうち五枚の葉組みを一とところ、又は二か所に入れる。この生花は前方の留より入れ、胴、副、真と逆に入れる。かきつばたは漢字で杜若、燕子花などと書かれることがあるが、植物としてはアヤメ科に属する花で、アヤメ、ハナショウプ、イチハツなどと同属の花である。(洋名アイリス)、ハナショウブは花種の多いものだがカキッパタは紫か白、まれに白紫の交色の花がある。かきつばたの名所も多いが、山の沢や野川に野性で咲くかきつばたがいちばん風雅な感じがあり、自然の美しさを感じられる。農村の土塀にそうて流れる小川に、自然咲きのかきつばたをみることがあるが、いかにも静かな雅趣を覚えるものである。いけばなの材料として、春のはじめにかきつばたを見るようになるとようやく春も本調子になつてきたように感じられ、桜も終つていよいよ水草の季節に入ったことを、しみじみと感じられるものである。日本的な伝統の色の紫、王机時代にかきつばたの花を衣服にすりつけたという伝説もあつて、品位の高い花である。生花の材料としてまことに好ましいものだが、瓶花盛花にも季節感の深い花材といえる。この。ヘージにはかきつばたの生花(せいか)を四つならべてみた。水盤に活けても調和がよいし、竹の寸筒(ずんどう)にくばり木をかけて活けるのも上品である。葉組みの作り方に約束があって、自然の姿と、生花の技法との組み合せによって整然とした花形を作る。R .... か苔つばた@ 4

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