テキスト1971
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主位の配置(しゅい)R水盤の右隅から外の方へ花枝を出す花型(株を右隅に置く)を主位の配置という。この場合には左方は水面をみせることになる。基本花型の場合も応用花型の場合も同じ考え方でよい。広い水盤の場合に特徴のある花型。逆位の配置(苔やくい)R右勝手の盛花の形で、水盤の内方へ向って花枝を出す花型。これを逆位の花型という。右方に水面をみることになる。この写真の盛花はすかし百合、菊、ユーカリの三種で花型は自由花型だが、右方の水面を美しくみせる。⑱ 水盤は水を盛る花器である。盤(ばん)という言葉は、皿、浅い鉢の頬、食器をのせる台、あるいは将棋盤、碁盤というように平らな器のことをいう。夏季に平らな皿様の器に清らかな水を入れ、それに風情を添えるために草花の軽く短い切り花を小羅さし添えて飾ったのが、水盤のいけばなのはじめである。水を見るための器であるから夏季の意匠として一ばん適しており、冬季にはさむざむとした惑じで、主として初夏から秋に至る季節の意匠花であろう。盆裁を作る人が山草の短いものを浅い水盤に盛って飾るのをよくみかける。自然趣味の大変風雅な味わいのもので、高山植物の短い草花をよせ植えにしてあるのは、自然の情緒を惑じるものである。盛花の場合も大きい水盤を好んで使われた時代もあったが、盆景盆裁などの水盤から転じて、いけばなにとり入れられた趣味であろう。今日では広い水盤を使われることが少い。人の好みというのか、いけばなの時代的な変化というのか、このごろ広い水盤はなんとなく、古風な感じがする。腰高の盛花器、鉢様式のものが花との調和もよく、このビろの生活に調和する花器といえる。したがって主位、逆位、後位の配置も段々必要でなくなった様に思えるが、一応、盛花の株の配置の作例として、掲載することにした。4 ⑱ 逆位の配置R 主位の配置c 後位の配置盛花の株の配置

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