テキスト1971
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Rこの花器は「日光桶」又は「栗山桶」といつて、五月頃から晩秋の頃までが季節として適した花器です。赤杉の曲木細工ですが、山家の水桶をうつして作ったもので、夏の草花には調和のよい花器です。ろうばいの咲く十二月頃までは使える花器ですが、すすき、桔梗、秋海棠のような日本趣味の花がよく、洋花は調和が悪く、色彩も淡泊な感じのものがよい。ろうばいの淡い黄色の花と、黄菊としては明るい色の花を、同色の配合にして活けたのですが、菊の緑の葉がみずみずしく新鮮な感じの投入れとなりました。前にも話しましたが、壷に入れるのは瓶花(びんか)篭や手桶の花器に入れるのは投入れ(なげいれ)とす。呼ぶのが適切です。投入れという言葉は、花器の自然風な感じと活ける花も軽やかに、野趣を感ずる材料がふさわしく、活ける形も清楚に自然風な感じに活けることになり、投入れという言葉にぴったりするので篭でも手桶でも手のある花器は、活け上げて手がかくれないように活けます。この写真のように左方に花を入れないで、花器の内部まで見えるように一部分をあけておきます。手の前に花を入れますが、一部分は控の位置に、手の後方に挿し添えると形がよい。また、花材の枝葉花が手にさわらないように、空間を美しくあけて活けることも、注意の一つです。青磁のだえん型の水盤に、梅、梅R白色小菊を盛花にしました。花型は左勝手の留の長い形で(留主型)、5ページの盛花(梅、ラッパスイセン、立日陰)の形の反対の留の長い花型です。真の梅の枝を2本長短に挿し、その少し左方前へずわえ(瑞枝)を2本さし添えました。若木の直上枝を入れて自然写実的な感じを出してあります。その前へ太いこけぽく1本を前へ傾けて挿し、留に主力をもたせて左前方へ長く雅致のある枝をさし出したが、この枝は堅くならない様にのびのぴとした自然のままの枝を入れましたが、この留の枝で梅のす。技巧は美しく材料はつとめて自然個性をあらわしていることになりまの味わいのあるものを選ぷことが必要です。水盤の清らかな水の上へのびる枝足もとに白い小菊(温室栽培)を入れて、この盛花も淡彩的な日本趣味の花といえます。6 RR ろうばい黄大輪菊白小菊R R ••••

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