テキスト1971
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R伝統のいけばな「立花」には形式が随分多い。写真の作品は立花のうちの「行の体」です。花材は梅の種類のうちでも枝振りに変化のある雲竜梅(うんりゅうばい)を真に使つて、松、椿、つげ、白菊の五種で作りあげた立花で、お祝の席に飾る立花です。この作品は高さ四尺程度の、立花としては小品のものですが桑原専塵流の立花は自然の草木をなるべく活かして、あまり技巧的に作りあげないことが特徴になつています。したがつて現代に通じるもち味をもつていますが、この作品はことに材料をそのままに作りあげている立花といえます。古典花花材雲竜梅松菊椿しん、そえ、うけ、ながし、どう、ひかえ、まえおき、しようしん、みこし、とめ、などの役枝の名称があり、これを基として生花の役枝を名づけていますが、さらに瓶花盛花にもこの伝統の名称を使っているわけです。梅は十一月頃から四月頃まで用いますが、随分種類が多く、この雲竜梅は自然に枝幹が曲線をもつている面白い形の梅です。白花と薄紅梅の雲竜梅があります。樹木の中にはこの梅の様に、枝幹の曲つて出生する雲竜柳、雲竜ぼけ、などというものもあり、瓶花盛花の材料として使用されます。つげRろうばい、スイトビーの紅色の取り合せ。花器は白色陶器で細口の柱が二つあり、洋花の草花2種がこの花器にびったりする配合ですが、これにろうばいを入れることにしました。スイトビーとの取合せぱ業のない材料ですから、普通の花器には活けにくいが、こんな特殊な形のものですと、それぞれ2種の材料が別にあり、その二瓶をとり合せるような名え方をもつと、単純な直線が面白い効果を出すことになります。右方のろうばいに添えた2本のスイトビーが、いちばん必要なポイントということになります。(意匠的な瓶花)ろうばいスイトピー4 R @ りつか立花

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