テキスト1971
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c梅は写真でみると長くみえますが、実際ではそれほど重い感じではなく、以下の作品のどの場合も同じことです。cの盛花は、瓢(ふくべ)の花器にろうばい、青色のアイリスの花4本をそえた淡泊な感じの花です。花器の内部の黒色に黄と青の花と白緑のアイリスの葉、調和のよいc 配色です。花器の中に竹の中筒を入れ剣山を使って留めました。この花型は右方の流暢なろうばいの枝の形、前方低く花器の前へ出した枝の形、これで花形の変化を考えてあります。ろうばいとアイリスは細い線の材料で、足もとがすいて見えるから、留め方も美しい技巧で仕上げるように特に注意しました。アイリスの4本は左前隅と後方の花で前後の奥行を深く作り、中間は右方のろうばいの枝と見合せて、かなり高く挿してあります。アイリスの前へろうばいの枝を重ね、これも奥深く枝を配置してありますが、軽快にのびやかな感じの花といえます。⑪黒褐色の長方型の篭に中筒を入れ、梅に菜のはなの取り合せです。菜種、また、菜花(さいか)ともいわれますが、菜花という発音はなんとなく雅趣を感じます。篭は農家の道具入れ、背負い篭にも使われる民芸品とでもいえる篭です。横40センチ、はば22センチの大振りの花器ですが、梅と菜種の野趣がよい調和です。この花型は、かなり腰の高い篭なので、上方へはのばさず、横へひろがるような形を作りました。どの花器に活ける場合でも、花器の形と趣味をよくみつめて、それに似合う花材と花型を選択することを考えたいものです。これも下部へしつかりした梅の枝を入れて、前方低い位置の形を考えてあります。温梅室へ入れたの白い梅のつぽみが春らしい季節感をあらわしています。冬季には白竹の篭よりも色の黒い調子の篭を使うようにします。床の間には畳床でも、敷板、台を使わずそのまま飾りつけます。アイリス菜種3 ⑪梅c脈栴⑪

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