テキスト1971
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つつ寧多い。日月、焦具、農具、船車などのよ伝統のいけばなには意匠的な工夫をしたものが多い。竹の花器などその形、切り方などにことに意匠的なものが多い。一重切、二重三重五重切筒、をはじめ単調な竹の形に変化のある工夫をほどこして、水の入る花器に仕上げているし、陶器の場合にも、金屈器、篭花器、瓢、木器具など、種類も多いし意匠的なものもうに自然と生活の中にある、美しい形、雅趣のある形を模して、花器にうつしたものが多く、また、かけばな、つりばなのようにその場所に適した工夫を加えて花器を作ったものもある。「つり花生」もその一っだが、床の間の天井に「ひる<ぎ」という釘を打つて、それへ「くさり」「竹」「つる、ひも」の釣具を使って花器を釣り、花を活ける。昔は雅趣のあるもの、生活の要具をうつして花器に作ったものが多かったが、今日ではもつと視野をひろげて、自由な材料によって自由な形の釣花器が作られるようになった。どうは、すがすがしく調和がよい。9月10月の花として清楚な味わここに、つり花器の写真を二つ掲載したが、Rは「腰さげの農具をうつして作った篭」、Rは「銅器のつり舟」である。二つともいや味のないすつきりとした形の花器で、花を活けても淡泊な雅趣が感じられる。釣りばなは活けにくいものである。釣った花器が動くので、活けるときに仕事がしにくいのと、活け上げてから、花器がゆれ動いて方向が変るので、折角活けた花が横向きになるという場合が多い。従つて活ける前に釣り花器が正しく前へ向くよ小品瓶花しゅうかいどうしゅうかいどうの置き花の画を添えておく。よほど以前に写生したものだが、床の間の棚へ小さい青磁色の花瓶にさしたしゅうかいいの花といえる。しゅうかいどうは足元を塩でもんで活ける。(専渓画)うに安定してから花を活けることである。花器が軽いと動くことが多いので、花留などを入れて重味をつけ安定させる。高い位置の花であるから、花は手軽く入れた淡泊な感じの花がよく、技巧的にも自然風なあつさりとしたものが好ましい。床の間には下座に釣ることになり、床の間以外のどの場所でも使えるが、釣った花器であるから、部屋の隅などさわりのないところに釣るのがよい。6 RR り篭の花り舟の花R 釣りばな

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