テキスト1971
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Rひおおぎ(旦扇、桧扇)は七月初めより八月中旬まである材料である。がっちりとした形が重い感じで、瓶花盛花には調和のよくない材料である。生花の材料には適しているのだが、これさえもつとめて軽い感じに入れないと、季節柄暑くるしい感じがする。そんな点を考えて、このページにあるようなひおおぎの生花を2作っくつてみた。Rの作品は、ひおおぎに小菊の葉を添えたもの。ひおおぎの曲ったものを選んで3本、真副胴に入れ、副を右方に長くさし出してのびやかな花形を作った。さて、この小菊の葉のねじめ(副材)だが、この小菊は白花がすでに終つて、を花園に植生されている中から茎の曲った面白い形のものを選んで、ひおおぎに添えた。花屋にはない材料である。ひおおぎの強さに対して軽やかな風雅な味わいを添えたことになる。まじめにがっちりとした旦扇に、野趣のある小菊。変った味わいのある生花となった。小菊の留が曲つていて、その空間が面白い感じである。今は残り葉のみとなっているのR R生花の中に「二瓶飾」にびんかざり、という活け方がある。別に「二管筒」にかんづつ、というのがあつて、これは竹を二本長短に切つたものを花器として生花二つを入れるのだが、この二瓶飾は二管筒と同じ花形を花器を変えて取り合せ、ニつを調和させて装飾的効呆を考えるいけばなである。二つの(長短の)花器をよく選んで、それに調和する花形を入れる。花形は左の壺に六割の大きさの花を入れ(右勝手)、右の鉢に四割の大きさの花(左勝手)を入れる。同じ材料で左右の花器に入れるのもよいし、例えば、青楓にかきつばた、あじさいに姫百合、梅に椿といった様に2種で入れるのもよい。Rの写真は、左の花器には真副胴だけで小さく作り、右方の黒い鉢に入れた日扇は左勝手で副を長くさし出し、和と控には一枚ずつの葉を入れている。ひきしまったひおおぎで、バランスのよい花形が作られており、左右の二つの生花は調和のよい組み合せである。この二瓶飾をつくるとき、特に注意することは二つの花器が、その感じ、大きさ、形などの調和のよいものを選ぶことである。意匠的な花であるから、趣味のよい考え方が必要である。と3本のひおおぎ、留と控は軽く葉4 @ ヒオオギ(二瓶飾)ヒオオギ小菊••••

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