テキスト1971
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オミナェシは女郎花と漢字で書く。謡曲「女郎花」の中に「名をきいてだに偕老をちぎるといえり」という文章がある。昔から女性的な花ということになつているが、女郎花というのは後代の誤りで、恐らくは・上代の貴婦人をさしていう「上脳」ジョウロウ、から名附けたものであろうという説がある。高原の緑の草の中に細くやさしく風にゆらいでいる姿は、まことにやさしく美しい。オミナメシともいわれるが、これは昔、米の飯を男飯、キビの飯を女飯といったことから、黄色のキビの飯の色とこの花色が似ているので女の飯、オミナメシということになった、という説もある。いずれにしても俊雅な名前をもつ花だが、水辺に咲く河原撫子をヤマトナデシコというように、日本の女性の優美さを象徴した名前であろう。オトコェッという花がある。白花のやや似た花だが雅趣にとぼしい。オミナェシは誰れもが知つているが、オトコェシは知らない人が多い。母の日、父の日みたいなもので、どうも男性は人気が少いようである。いけばな材料としてもオトコエシはほとんど活けることが少い。Rオ、ミナェシにダリアの盛花。白赤を染めわけた花のダリアも七月中旬になると花も小さく、なんとなく力が弱いがオ、、、ナエシと取合せると、色彩的に調和もよく明るい感じをうける。オミナェシにナナカマドの紅葉、りんどうの様に自然趣味の取合せもぴったりであるが、反対に白花のバラ、ダリアなども意外によく調和する。写真の盛花にはオミナェシを七、八本さしてあるが、数が多くなるほど入れにくい花である。Rュキヤナギの枝振りのよいものを選んで2本、うす紫のミヅギボウシの花4本、葉4枚、これにアジサイの青色と淡紅の花を3本そえて盛花にした。花器は舟型の染附の水盤である。藍絵のテッセンの図案が描かれていて、すがすがしい感じの夏の花器である。ユキヤナギの枝の線が軽快な感じ、ギボウシの直立の茎も美しい。まるい葉の組み方を少しななめに使つて、重くみえないように注意した。軽やかな線に特徴をもつ作品。⑧ R 盛夏の盛花11

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