テキスト1970
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c 花材花器花器花材ひおおぎ(生花)麦秤製シェードしまふとい古丹波焼壷紅菊cこれは麦稗製品のシェードである。京都河原町の民芸屋で買ったもので、どこの製品だかたしかではない。電灯の笠だから、もちろん底はない。中へ陶器の筒形の花器を入れて、生花を活けることにした。旦い(ひおおぎ)を5本入れてみると、案外、花器に調和している。留が少し低かったけれど、まずこの花器には趣味として調和しているところが、いいのじゃないかと思っている。このシェードはこれまで、上向きにして瓶花を活けたこともあるが、使いやすい形である。まさかシェードが花器になろうとは作った人も息い至らないだろうけれど、私逹も花器と定つたものよりも、こんな形のものをみつけ出して花器に使うという考え方も面白い若想でないかと思う。今度のテキストの写真は午後7時から翌朝の午前7時まで徹夜で花を活け、次から次へと写真をとった。高山から帰宅したその日であったので、材料も息う様にととのわず、仝く苦心の作品どもであった。⑪旅行中からすでに体の調子が悪かったところへ、徹夜の頑ばりが身体に影孵して、写真をとったその翌日から「ジングエン」となる。発熱四0度4日問、やつと平常をとり仄して、静は苦しい中の撮影だった。しかしながら、今度のテキストは、「民芸品」の蒐集と、れに花を活けるという、興味深いものであるだけに、格別な熱意をもつてとりかかったが、その結呆をこのテキストを通じて皆さんに知つていただくことのできたのは、なによりの喜びである。さて、⑪の瓶花は、シマフトイに紅菊2種である。花器は古い丹波焼の壷で、塩壷又は食料品を保存する壷であろう。この壷に竹の皮などでフタを作り、しつかりとくくりつけて保存するための容器でないかと思う。これにフトイと紅菊の花、緑の葉が落舒きのある調和をつくつている。前方低く出した紅菊の色も色彩的に変化がある。捉5日間、15日になつてやっと平常に復した。全く今度の写真7 そ⑪

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